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2]着色方法

擬岩の色彩は周辺の岩場と一致するように酸化鉄等の無機系顔料をモルタルに混練し、べースカラーとします。このままでは、色調がモノトーンとなってしまうので風化した色合いを出すために、多くの場合塗装をしています。塗装すると塗膜がはがれたり、撥水性があるため、ぬれ色がでません。そこで、膜を形成するような塗装ではなく、セメントのアルカリ分と反応する発色剤を使用する方法があります。塗布するとモルタル粒子間に浸透し、化学的に安定した金属塩となって発色します。この方法では、水が浸透するため、ぬれ色がでて、水苔も生えやすく、より「本物」となります。また、耐久性にも優れています。

3]擬岩材料

型取り法・吹き付け法のいずれでも、擬岩部分は経済性・施工性の面から薄片状(環境に合わせて三〜一〇センチメートル厚)に製作します。ひび割れ防止、高強度・耐久性等の観点から、炭素繊維やガラス繊維を用いた繊維補強コンクリートを使用しています。この薄片を永久型枠として、中詰めコンクリートを打設し、擬岩が完成します。

 

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写真7 岩礁地帯の潮だまりに用いた例

 

おわりに

 

自然景観のなかに擬岩が採用されるようになったのはここ数年のことで、それほど件数は多くありません。今後、擬岩を見られて、どのような評価をされるのか、楽しみにしています。ハイキングの途中で見かけた渓流のなかの青い水苔の生えた岩も子供たちが小魚を追いかけた岩礁の「潮だまり」の岩も擬岩かもしれません。

 

平成十年

主な海洋汚染事例

海上保安庁警備救難部海上環境課

 

油による主な海洋汚染事例

 

(1) 八月十五日、千葉県犬吠埼東方三カイリ付近海域において、ケミカルタンカー、第五山菱丸(九八五トン)とパナマ籍貨物船(六、六四一トン)が衝突、第五山菱丸の船体に破口が生じ、燃料油であるC重油約四七キロリットルが流出したもの。

(2) 十月二十九日、銚子から沖合の漁場に向け出港中のまぐろ延縄漁船第三十一若潮丸(一九トン)が同港出口の防波堤に衝突、船体破口部から燃料油が流出しているのを認めながら、これを放置して沖合向け航行し、結果としてA重油約八・五キロリットルを排出したもの。

 

油以外のもの(廃棄物等)による主な海洋汚染事例

 

(1) かき養殖業者一四人が、一月初旬から六月初旬までの間、出荷過程で発生するかき殻約一、五六五トンを広島県玖波漁港内に投棄したもの。

(2) 砂利運搬船船長が、一月ごろ自船に設置していたバケット(鉄製)一基(約一一トン)を兵庫県坊勢島沿岸に投棄したのをはじめ、内航海運業者等計四業者が同沿岸に計一一基(約一二一トン)のバケットを投棄したもの。

(3) 水産加工業者が、十一月十一日から同月二十五日までの間、COD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質量)および大腸菌群数について排出基準の約一〇倍を超える汚水を故意に北海道噴火湾内に排出したもの。

 

 

 

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