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ここでイルカとクジラの違いですが、どちらもクジラの仲間であり、体の大きさが三〜四メートル前後をイルカと呼び、ゴンドウ類のように四メートル以上のものをクジラと呼称し、クジラはこの体長の違いでイルカ、クジラとしています。

 

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可愛らしい三世イルカ

 

現在日本動物園水族館協会加盟の六六園館では約半数の三〇園館がイルカ、クジラを飼育展示していますが、江ノ島水族館が一九五七年、わが国最初の陸上型円型大型プールでショーを公開した施設となっています。今日まで四十年間、一五種、三〇〇頭の飼育例となります。その内、繁殖飼育は一一三例となり、バンドウイルカ三世(親子孫)が三頭生まれ、それは日本ではマリンランドのみであり、繁殖例の先鞭をつけたことになります。

水族館としてイルカとつきあう歴史がまだ六十年ほどであり、これからも自然界の未解明な部分を立証するため、飼育下での行動観察がイルカの生態を裏付ける重要な役割を担っています。イルカ、クジラとのふれあいは人と動物との共存を立証していくものであり、トレーニングや健康管理が大切です。マリンランドではハナゴンドウの「ヨン」というゴンドウクジラがおり、世界一の長寿記録保持者ですが、それは医療管理の向上によります。

江ノ島水族館ではイルカの人工受精を成功させようと今日努力しております。それは淡水イルカで中国の揚子江のみに生息するヨウスコウカワイルカの保護を開始したことがきっかけとなりました。今一〇〇頭を割ってしまった絶滅に瀕しているカワイルカですが、原因は三峡ダムの建設による生態系の異変や、人口増大や経済発展による河の汚染があげられます。

日本からはJICAの支援を受けて、ヨウスコウカワイルカ用の水族館を日中共同研究として建設いたしました。今雄一頭が十八年間保護されておりますが、そこに雌を入れて子供を繁殖させるよう私どものノウハウを提供し、同時に人工受精の方法で遺伝的に系統的に系統保存をしていこうとしております。

人工衛生を使用して雌を確保するのに大規模なカワイルカの捜査を十年間続けております。このように、一度失われた自然の回復には膨大な時間や経費がかかるということを痛感いたしており、水族館の自然保護の役割がますます高まってまいりました。

 

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ハナゴンドウ"ヨンチャン"と筆者のコミュニケーション

 

おわりに

 

今日生涯学習時代を迎え、水族館は、社会教育施設として、水界の世界をあらゆる世代に楽しく学んでいただける環境教育の大切な役割となってまいりました。

参加体験学習を通して、生物の素晴らしさとそれを育む環境の大切さを伝える水族館が、海洋生物の保安官の役割として邁進して生きたいと思います。

 

 

 

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