それから数日間、イカの刺し身、イカそうめん、イカの天ぷら、焼きイカ、イカの煮つけなど乗組員はイカ攻めになったが、新鮮で良質なうえ、調理が大変よかったので誰からも不平は出なかった。
さて、船では調理長の腕の善しあしがその船の気質にまで影響することが多い。その点、この衣糧長は腕利きで、料理を作るためにこの世に生まれてきたような人で、乗組員達はいつも元気いっぱいはつらつとして幸福そのものだった。
この衣糧長が乗船してからは、一年に一回、それもクリスマスイブの近くに特別な料理を作って、乗組員総員でパーティを行うのが恒例になっていた。
その年もこの衣糧長はパーティの相当前から毎日の食事の質も量も落とさないで、なおかつ、少しづつ食費を節約し、パーティのための準備を進めていた。
だが思いがけない"海からのプレゼント"で食費はさらに節約でき、その分そっくりパーティの料理になった。
このため、その年のパーティは例年より豪勢なご馳走が幾皿か増え、乗組員はみんな"海からのプレゼント"に感謝し、パーティを盛り上げた衣糧長に感謝した。
このパーティは乗組員全員が喜ぶだけでなく、翌日からの業務のための大きな活力となったのはいうまでもない。
さて、漂流船は巡視船の針路前方に発見でき、予定どおり十六時三〇分曳航索を渡し曳航開始、クリスマスイブの二日前に東京湾に到着した。
巡視船Gの船長とは筆者のことである。
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