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日本海中部リスク情報マップ

富山でワークショップ開く

 

(社)日本海難防止協会は、平成十一年三月五日十四時から富山県民会館に富山県および石川県の関係者六〇人を集め、「日本海中部沿岸域環境保全リスク情報マップ」ワークショップを開いた。

開会にあたり、主催者を代表して日本海難防止協会の池上参与は「現在米国東岸で日本の大型チップ船が大時化のため走錨、座礁して燃料油が流出するという事故が起きている。記憶に新しいナホトカ号やダイアモンドグレース号のような油流出事故が再び起こらないという保証はない。万一に備え、関係者が日ごろから必要な情報を共有しておくことが重要で、その一つが環境保全リスク情報マップである。本日のワークショップを通じてご理解をお願いする。」と述べた。

 

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ワークショップに集まった関係者(富山県民会館)

 

続いて講演に入り、最初に運輸省運輸政策局環境・海洋課海洋室補佐官、渡田滋彦氏が「油防除体制に関する国際動向」について説明した。

次に、日本海難防止協会海洋汚染防止研究部主任研究員、大貫伸氏が「沿岸域環境保全リスク情報マップ整備」事業の概要および「日本海沿岸域環境保全リスク情報マップ(富山・石川)」の概要の二つのテーマを講演した。

これらの講演に対する質疑応答の後、十六時に終了した。

以下、同リスク情報マップの概要を記す。

 

国際条約の制定

 

一九八九年(平成元年)三月アラスカで発生したエクソン・バルディーズ号事故を契機として、大規模流出油事故に対応するための国際協力の枠組み等を定めた新条約(OPRC条約)が一九九〇年(平成二年)十一月に採択された。

同条約では、流出油事故への準備・対応のための国家的な緊急時計画の策定にあたり"センシティビティ・マップ(Sensitivity Map)作成に関するガイドライン"を考慮するよう求めている。

 

わが国における対応

 

わが国においても、上記OPRC条約を受け、平成七年十二月に「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」が定められ、平成九年一二月に同計画が改定されている。

同計画では「油汚染事件による環境への影響を迅速に把握・評価し、また流出油事件に対応する措置を的確に講じ、被害の発生を最小限に抑えるための参考とするために、各海域ごとの自然的、社会的及び経済的な諸情報を収集・整理し、これらの情報を情報図として整備等その内容の充実に努めること」が求められている。

 

本協会の事業の概要

 

本協会では、平成五年度にセンシティビティ・マップに関する基礎調査を行い、専門家の意見をもとに、わが国の沿岸域の特性を考慮した新たな情報図を作成するための指針をとりまとめた。

さらに、この指針をもとに同マップに関する実用面での検討を進めるため、平成七年度から東京湾、伊勢湾、大阪湾を対象とした試作図を作成した。

そして今回、日本海中部沿岸域における情報図を完成した。

 

 

 

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