(5) 進入灯接合構造の研究
浮体と進入灯部を連結する構造として連絡橋方式が提案されていたが、本年度はその長さを40mと短くした人道橋として試設計を行い、その可能性と経済性を提示した。
1.3.3 空港機能シミュレーション技術の研究開発
(1) 計器着陸装置(PAPI/GS)検討のためのシミュレーションプログラムの作成
防波堤で遮蔽されているフェーズII空港モデルを対象に、推定された実海面の不規則波を入力とした浮体応答の短期予測と計測値との比較・評価を行い、PAPI/GS反射面の応答有義値の推定が開発・改良されたプログラムの使用により可能であることを示した。
(2) 気象・海象観測及び浮体挙動計測機器類の手配
実証実験に必要な計測システムの構築と必要な計測機器の調達・設置・調整を行い、正常作動・計測することを確認した。また導入した波浪推算システムの構築・調整を行い所定通り波浪データを得られる事を確認した。
1.3.4 着陸用計器の研究
(1) 浮体空港における航空保安施設の中で、航空機の安全運転に重要な役割を果たし、かつ、最も波浪動揺の影響を受けやすいと考えられる進入角指示灯(PAPI)と計器着陸装置(ILS)を浮体空港モデルの所定の位置に設置、地上側での調整を行い、飛行検査機による飛行調査に備えた。
(2) 飛行調査時に浮体空港モデルの微小挙動量を精度良く計測するため、光学式挙動計測装置を準備、飛行調査に備えた。
1.3.5 航空機による検証実験
(1) 第1回航空局飛行調査時の風向は主として北である。実験サイトにおいては、波浪は大きく「風波」と「うねり」にわかれ、「風波」の方向は風向と一致、「うねり」は常に東京湾口方向(132度)から進入する。調査期間中、風波による最大0.64mの有義波高が観測された。この波高は実験サイトにおける15%再現確率波高(=0.5m、発生する波の85%がこれより低い波高となる波高値)より高く(本実験サイトとしては)かなり厳しい波浪条件下で飛行調査が実施されたと考えられる。
しかしながら、光学式挙動計測によるPAPI設置位置による回転量は0.02、0.03度と非常に小さい。
(2) 第2回の飛行調査では、GS反射面をバラスト水注水により人為的に変形させ、浮体変形の影響確認を計画した。この時のGS反射面の変形量は最大高低差264.5mm、傾斜角0.145度であり、周期9.5秒、波高3.15mの波に対応する変形量となる。