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a. 停留所間の車両在線検知

GPS車両位置検知において、車両が在線している停留所間を誤って、前方停留所区間に在線にしていることを示す事象、また、逆に誤って後方停留所区間を示す事象は認められない。特に前者は、高速運転可能か否かの判断における危険側の誤りであるが、カーブ区間のマップマッチング処理を含み、この種の誤りは、全く発生していない。したがって、GPS車両位置検知は、停留所聞在線検知のための要求性能をみたしている。

ただし、JR線の高架下などのように予めGPS受信不良となることが判っている箇所では、特殊処理での対策が必要である。また、突発的にGPS受信不良が発生した場合には、試作装置で実現しているように、地上基地周無線機で車両位置が確実に確認されるまでは、停留所間に在線していることを保持する安全側の異常処理が必要である。

b. 高速進行信号消去のための車両走行位置検知

走行位置は、高速走行区間を抜けて車載装置の高速走行許可信号表示を消灯させる際に使用される。この走行位置は、マップマッチング処理により線路上に移動された位置情報より求めるが、そこにはマップマッチング移動距離に相当する誤差が含まれることを想定する必要がある。そこで、高速走行終了を指示する地点データにGPS位置検知の最大誤差分の余裕距離を設ける。なお、この余裕距離には、この位置検知誤差に加えGPS受信処理の遅れや、運転手の操作時間、ブレーキの空走時間など、高速走行速度に対応した時間的要素を加味する必要がある。

c. 停留所での到着検知

停留所でのダンゴ状態を想定すると、検知精度は車両長(約14m)以内とする必要がある。ディファレンシャル有効時は問題ないが、ディファレンシャル無効時には検知精度が低下し車両長を越える誤差が生じる。これを解決するには、停留所停車時運転手が操作するドア開閉スイッチとの連動により位置情報を補正する手段の導入などが必要である。この手段は、大塚駅前停留所などのGPS受信不良時にも有効である。

(2) 検討

a. FM受信不良時の対策

荒川線にはないが、別系統線が隣接している場合や分岐部分がある場合などに、FM受信不良が発生した状態でマップマッチング処理をすると、誤って別線に車両位置を移行することが想定される。この点に関しては、マップマッチング処理に列車番号などに基づく系統判別機能を持たせることで対処可能と考えられる。

b. GPS受信不良時の対策

大塚駅前停留所などの高架下ではGPS受信不良となり、車両位置検知不能となるが、如何なる対策を行うかは、実用化時の課題である。

c. 天候条件の調査

今回実施した現車試験時の天候は、2日間とも晴れであったので、降雨、降雪時のGPS受信状況を調査する必要がある。

 

 

 

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