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図1-3-10に、二個の加圧室を持つ特殊カーテン型オイルフェンスを示す。この加圧空気室によって、浮力と加圧氷室バラストが与えられ、スカートとして機能する。この布はまた引張り部材でもある。このオイルフェンスのロール/上下動特性は優れている。乾舷の高さは充分で、漏洩油に対する効果的な防壁となる。オイルフェンスの表面は非常に滑らかで、曳航性が優れ、表面にはごみ類が溜らない。

これらのオイルフェンスの展張は容易で、特殊構成のリールで収納され、格納スペースは比較的小さい。不利な点といえば、この連続室に沿ってどこで破裂が起きても浮力が喪失することである。これに加えて、浮力室の空気圧を維持するために空気圧縮機が必要で、もし故障すればオイルフェンスは沈んでしまうことになる。

 

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図1-3-9 加圧膨張式オイルフェンス

 

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図1-3-10 加圧室オイルフェンス

 

4] 自己膨張式オイルフェンス

自己膨張式オイルフェンスは、柔軟で比較的軽量なポリ塩化ビニール又はポリウレタン被覆の布を用いている。複数の浮力室はそれぞれ格納時には小さく圧縮されているが、使用時には空気逆止弁の取入弁又は被覆空気口から大気によって膨張する。浮力室は、大気圧のみ、または折り畳み可能なフレームとスプリング、あるいは螺旋コイルによって形が維持される。このオイルフェンスの第一の利点は急速に使用準備が完了することである。この浮力室は空気充填式で非常に柔軟であるから、浮力/重量比が大きく、上下動に対する特性も高くなる。第二の利点としては、小さく変形でき、小さな容積に格納することができる。不利な点としては、引張り強度が小さく、パンクしたり、裂けたり、機械的な破損を受け易い。さらに、もし弁や浮力室の頭部の被覆空気口が展張中に水面上にないと、浮力室に水が充満して、オイルフェンスを沈めてしまうことがある。

 

 

 

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