2) カーテン式オイルフェンス
カーテン式オイルフェンスは、浮体部と独立して自由に動く柔軟なスカート部から成っており、乾舷とスカート深さが同時に減少することはない。前述した図1-3-3は、横揺れが生じて乾舷とスカート深さの両方が減少した剛性の衝立式オイルフェンスについて示したが、カーテン式オイルフェンスでは、この横揺れ問題をテンションベルト位置を喫水線付近やスカート下部に取り付けることによって解消している。我が国におけるA型、B型、C型及びD型オイルフェンスは、このカーテン式オイルフェンスの部類に入る。
カーテン式オイルフェンスは次のいずれかの浮体部を有している。
・ 内部発砲材式オイルフェンス(我が国の固形式オイルフェンス)
・ 外部発砲材式オイルフェンス
・ 加圧膨張式オイルフェンス(我が国の充気式オイルフェンス)
・ 自己膨張式オイルフェンス
・ 耐火式オイルフェンス
1] 内部発砲材式オイルフェンス(固形式オイルフェンス)
内部発泡材式オイルフェンスは、一般には柔軟な発砲樹脂による浮力材を覆うために、柔軟で軽量なポリ塩化ビニール又はポリウレタン被覆の布地を用いている。
この布地は、浮力材とパラストチェーンと上部のテンション部材を取り囲んでいる。この布地は、高周波又は高温空気熔着でこれら部品に接合される。バラストチェーンと上部のテンション部材は、強度部材としての役割も果たす。
バラストに鎖ではなくて鉛の重錘がついているオイルフェンスもある。(海上災害防止センターでは、鉛の重錘はオイルフェンスの焼却処理時、改たな環境問題を引き起こすおそれがあることから極力使用しないよう指導している。)
発泡材のフロートの形状は円筒形又は長方形である。発泡材の代わりに、剛性の丸棒、柔軟なロール丸棒、布に包んだ顆粒を使用してもよい。発泡材により浮体は、一般には短く分割されており、上下動に対する対応性を改善し、かつ保管スペースを減らすために折り畳み易くする利点がある。
顆粒材を充填する方式の浮体は、優れた柔軟性があって上下動の対応はよいが、この浮力室に亀裂が入ると、顆粒が流失したり水で満たされてしまう。また浮力室に移って、一部の浮力を失うことになる。発泡材を使えばこの問題は解決できるが、上下動に対する対応は悪くなり、また取扱い中にばらばらに砕ける場合もある。
現在では、柔軟な発砲ロール材が適当な柔軟性を持ち、耐久性もあり、たとえ浮力室が冠水してもほとんどと浮力を失わないことから、最もポピュラーな方式となっている。内部発泡材オイルフェンスの概略を図1-3-7に示す。