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研修報告書

 

兵庫県・市立川西病院外科

打出啓二

 

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平成12年2月4日から13日まで、小笠原村母島診療所にて、研修を行いました。

小笠原諸島は、東京から南へ約1,000kmの海上に散在する大小30余りの島々からなっており、日本一広い経済水域を持つ村であります。東京から南へ約1,000kmのところに父島があり、さらに南へ約50kmのところに母島があります。一般人が住んでいるのは父島と母島のみで、母島から南西に約200km行くと自衛隊の基地のある硫黄島がありますが、一般人は立ち入ることはできません。母島は面積21km、人口約430人の小さな島であります。

 

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小笠原のほぼ全域が国立公園に指定されていて、海洋性の亜熱帯気候のもとに、動植物など日本本土とは異なった自然的特性が保護維持されています。珊瑚礁、その中を群れて泳ぐ魚、海の中の景観は息を飲む美しさです。陸上には、ハイビスカス、ブーゲンビリアの花が咲き乱れ、バナナ、パッション、パパイヤなど南国の果物もいたるところに見られます。

亜熱帯性の、温暖で気温変化の少ない海洋性の気候であり、母島の年間平均気温は22.9℃、冬季は17℃、夏季は27℃であります。年間を通じて雪や霜はまったく見られず、雨量は年間1200mm程度で、これは東京都内とほぼ同じであります。

ここまで読むと、なんと素敵な島だろう、島で暮らしてみたいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、いざ母島で生活するとなると、本土にはない、さまざまな苦労もあるのが現実です。まずは交通、日本本土との交通手段は、約6日に1便の船だけであります。東京の竹芝桟橋を午前10時に出航するおがさわら丸は25時間半かけて、翌日の午前11時半に父島へ到着します。そこから、ははじま丸に乗り換え、約2時間で母島に到着します。父島と母島の間は一週間に5便程度しかなく、海が荒れると欠航になります。

次に生活、ほとんどの衣料品、家具、電気製品、書籍、せとものなどは、母島ではほとんど入手できません。

 

 

 

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