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翌22日は、1日中診療所での診療にあたった。筋肉内注射や血圧の測定なども実際に行ってみた。動き回ってみて改めて診療所の狭さに驚く。すれ違うにも体がぶつかりあうし、新しい機器を入れる場所などどこにもない。何もできないのにちょろちょろしている私はかなり邪魔な存在だったのではないか。建て直す予定もあるときくが、少しでもはやいことを望んで止まない。介護保険認定の主治医意見書作成のために、慢性関節リウマチと膝関節偽痛風のエビデンスの必要な患者がX線撮影に診療所へ来たが、撮影装置が2階にあるために非常に苦労して2階にのぼった。やはり建て直しは必要だと思われる。この日の外来は約30名であった。

その後、菅井医師の訪問診療に同行した。前々日の訪問と同様に、寝たきりとなっている老人の話をきくことができて非常に興味深かった。菅井医師が実にまめまめしく訪問診療を行っていることに驚いた。患者もきっと心強いことと思う。夜は今建設中だという介護保険のデイケア施設を見に行った。施設があっても働くヘルパーがいないという。これからヘルパー養成学校を作りたいと先生はおっしゃっていた。

翌23日は、高千穂ヘバス旅行であった。私が来るためにわざわざ用意してくださったらしい。改めて島の人たちのあたたかさを感じた。寒い日ではあったが、素晴らしい旅行となった。一生忘れることはないだろうと思う。

診療所最後の日となった24日は、今までより多くの実践的なことをやらせていただいた。心電図をはじめ、静脈内注射もやらせていただいた。私自身も慣れてきたせいか、今までで最も充実した日であった。昼にはささやかなクリスマスパーティーもあった。慣れてきた頃に終わるのが少し寂しかったが、多くの事を学べて良かった。最後に菅井医師より1週間のまとめの講義があった。この1週間で学んだことは、プライマリ・ケアを行っていく上で、幅広い知識と確実な診断技術が必要であることはもちろん、市政などとも積極的に協力していくことが必要であることを感じた。なかなか大学では学べないことばかりで、非常によい1週間だったのではないだろうか。実践的なことが多くできたのも良かった。島の人の温かさにも多く触れた1週間であった。都会では、もうほとんど見られない地域の強い結びつきを見たように思う。この研修で学んだ多くの事をこれからの勉強にいかしていきたいと思う。

 

 

 

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