研修初日、診察する菅井医師の傍らで診察を見学しながら講義を受けた。診療所は常勤が医師1名、看護婦1名、事務員1名の3名で、他にパートの看護婦が1名、週1回市内より来る保健婦が1名であった。離島診療所とはいえ、病診連携がよく取れているのに驚いた。脳梗塞の疑いの患者に対して、県立延岡病院の神経内科、放射線科にTelで用件を伝え、診療情報提供書を作成し、患者搬送は救急車出動をTel及びfaxで依頼し、瞬く間に段取りを済ませた。
午後からは、保健婦に同行して介護保健の認定調査に向かった。またその後は、看護婦に同行して障害者手帳の交付のための四肢の計測に向かった。いずれももちろん初めての経験であり、殊に介護保健は、これから導入されるにもかかわらず、直接関わったことがなかったので、とても勉強になった。また、ほぼ寝たきりとなっている老人の話をきくことができて非常に興味深かった。
翌21日は、朝から島浦島を離れて延岡市内に行き、桜井哲雄市長表敬訪問を行った。まあ会うだけだろうと思って気楽にしていたら、市長室に記者が大勢いて非常に驚いた。その後取材を受けたが、厳しい質問が多く、宮崎の人々の離島診療への関心の高さを感じた。自分があまりにも何も考えていないようで、少し肩身の狭い思いをした。その後、市健康管理課の方との昼食会があった。市側と診療所が密接につきあっているのに驚いた。地域医療とはこういうものなのだろう。
3時頃に帰島した。帰島してから菅井医師に、その日朝4時にあったという急患の話をして頂いた。急性腹症の20歳の女性で、子宮内膜症との診断で、宮崎の病院に診療情報提供書を書かれたそうだ。離島医は、多科にわたる幅広い知識と確実な診断技術が必要であると感じた。ある程度の経験を積んできた医師でないと難しいだろう。