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西表島にて

 

山梨県・山梨医科大学4年次

里野美佳

 

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私は元来、海外(特にアジア)における地域の保健・医療に興味があり、今までインド、ネパール、中国、ベトナムなどにおいて、その国の保健・医療活動を見学してきた。そこでの国の保健政策や、NGO、JICAなどの働きを見聞きするうちに、自分が余りにも自国、日本の地域医療・保健政策の流れについて無知だったかを思い知らされた。

また、私の場合、学校で1年間机の上の勉強ばかりやっていると、どうしても勉強をする意欲、モチベーションが薄れがちになってしまう。そのようなわけで今回、日本の地域医療を見学・実習してみようと思い立った。

実習場所に沖縄を選んだのは、第2次大戦において上陸戦のあった場所、基地のある県、所得の低い県、日本本島と違う歴史・文化を持ったところ、沖縄県立中部病院があるなどの様々な興味を引かれる要因があったからである。

 

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一人で沖縄入りした私は、定食屋でゴーヤ・チャンプル(沖縄の郷土料理)を食べながらそこのおばさんに、これから西表島に行くという話をした。するとその一言から、おばさんは西表島出身だということ、西表島では戦争中にマラリアが流行ったこと、極度の飢餓状態でそてつを食べてそてつ中毒で亡くなった方が沢山いたことなどを知った。

西表島へは石垣島から40分ぐらい連絡船に乗る。沖縄県内では本島につぐ大きさの島で、人口は約1,900人。島のほとんどが亜熱帯原生林に覆われた山なので、人が住めるところは少ない。人々は主に東部と西部に集落をつくっている。今回は東部の大原地区の診療所で実習を行った。1週間の宿は野原荘という家族経営の民宿である。

 

 

 

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