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屋久島へ実習に行って

 

東京都・帝京大学6年生

馬嶋健一郎

 

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私は屋久島にある永田診療所の藤郷先生の下で実習してきました。永田は人口約600人のところです。先生は1人、看護婦さんは4人いて、2人ずつ交代で勤務していました。他に事務の方が1人と、レセプトを出す時期の応援の事務の方が1人いました。診療所には透視のできる立派なレントゲン、エコー、そして消化管内視鏡までありました。エコーくらいはあるだろうとは思っていましたが、自分が考えていたよりずっと立派な設備が整っていました。しかしベッドは在りませんでした。

来る患者さんは、やはりいろいろな科にまたがっていました。内科を中心に皮膚科、整形外科、眼科や耳鼻科などなど。先生はこれらの疾患を手際良く、的確に診察してゆきました。私はプライマリケアに興味があるのですが、プライマリケアフィジシャンの診察を見るのは初めてで、とても参考になりました。やはり、高血圧、高脂血症、糖尿病などのいわゆる成人病を持った人が多く、そういった人の生活指導なども深く勉強しなければいけないと感じました。

 

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先生の診察はとても丁寧で、そしてやさしかったです。先生に会うのがほんとにうれしそうな患者さんも沢山いて、こういう診察の出来る先生に自分もならなければいけないと思いました。

先生は月に一回、屋久島から船に乗って口永良部島という人口160人の島の診療所にも行っており、ちょうど私が見学に行ったときと重なったので、一緒に付いて行きました。すごくきれいな、のどかな島でした。この口永良部島には常勤のドクターはいません。ここに住んでいる人たちは大変だろうと思います。先生にずっと口永良部にいてくれと言っていたおばあちゃんもいました。いわゆる無医村というのはこういったところなんだなと、実感しました。

他に、強く感じた事としては、地域の人たちとの連携の大切さです。先生は地元のソフトボールのチームに入っており、その忘年会に私もついていったのですが、こういった活動によって、ますます診療所の良い先生となっていくんだな、と思いました。先生は役場の人たちともよく話し合っていました。そして、有床の診療所や医師の複数体制など、永田地区の医療のレベルを上げるためにはどうするかを考えていらっしゃいました。私は、今回実習するまでは、医者は診察を丁寧にやっていれば良い、というイメージがあり、こういった人付き合いの、前向きな活動が大切だという事に気づいていなかったので、今回とても勉強になりました。

今回の実習でへき地医療を実際見れたことは、本当に幸運でした。これから医師の研修を受ける際に、今回の実習の事を参考にしたいと思います。自分も前むきなプライマリケアフィジシャンを目指してがんばりたいと思います。

最後に、この機会を与えてくださった全国自治体病院協議会のみなさま、藤郷先生ならびに診療所の関係者の方々、本当にありがとうございました。

 

 

 

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