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次に、島の人々の職業ですが、島には特に大きな産業はありませんので、ほとんどは、農業、漁業、そして公共事業と役場の仕事です。そのため島の人々が経済的にあまり豊かではないこと、島や、沖縄県の経済も乏しいことなどが問題になっていて、島の経済力を高めるために、島に空港をつくる運動も行われているようでした。しかし空港をつくり、島の観光化を進めることが、本当に島の為になるのか疑問でもあります。大型のリゾートホテルが建ち、空港が建設されると、島の人の雇用は増えるかも知れませんが、島の自然は大きく破壊されることが予想されるからです。この島では、公共事業がさかんに行われていて、島を一周する大きな道路がちょうど建設中でしたが、この広いアスファルトの道路は雄大な自然と不釣り合いに感じました。

そして、もう一つ、島の問題点として、那覇から島までの遠さです。那覇から名護が、バスで2時間、名護から運天までバスで45分、運天から伊平屋まではフェリーで1時間20分かかります。検査一つにしても、本島の病院に行くと、フェリー代だけでも、往復4千円以上かかります。しかも、台風で海が荒れると、2〜3日船が欠航してしまいます。

最後に、島の人は、とても素朴で良い人ばかりでした。

今回の研修では、沢山の良い経験ができました。島に実際に行ってみて、島の人々をとりまくさまざまな問題点のほんの一部を肌で感じることができました。そのなかで、生き生きと働き、生活している人々がいることを知りました。これから、医師になって、地域医療に携わるとき、参考にしたいと思います。このような機会を与えて下さった、診療所の本村先生、自治体病院協議会のご協力に心より感謝いたします。

 

 

 

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