島を車で一周しました。するとそこには手付かずの自然が残っていて、その景色の美しさに驚きました。海は、エメラルドグリーンでした。珊瑚礁が豊富なため、海の色はところどころで、違った色に反射して、島の上から、どこに珊瑚礁があるかが分かるほどに海は澄んでいました。海から顔を出す岩も、波に削られて、丸みをおび、天然の彫刻ともいうべき美しい形をしていました。山は緑が美しく、亜熱帯の木々とその間から見える海のコントラストは、まるで絵のようでした。自然はなんと美しいものか、このような美しい自然が破壊されないように、このままの形でずっとあればいいのにと思いました。
島の診療所は、まるで井戸端会議場です。この島の人々は、お互いのことを良く知っています。島の人は、高校から沖縄本島の方に行くそうですが、ほとんどの人はまた島に戻ってくるそうです。何世代にもわたって島で育ち、住んでいる人々は、お互いにどこの誰なのか、家庭環境はどうかなど、良く分かっているのだそうです。私が、診療所の待合室にいると、耳の不自由な患者さんとその他の患者さんが、手話らしきジェスチャーで、楽しそうに、話しをしていました。この手話は、全国どこでも通じる手話ではなく、どうやらこの土地独自のもののようでした。私が、この耳の不自由な患者さんの、酒落たTシャツと半ズボンを褒めると、その向かいに座っていた別の男性の患者さんは、それを、手話で伝えます。するとこの患者さんは、笑って喜びました。私が、状況をよく飲み込めずにいると、また別の女性の患者さんが、この患者さんは、耳は不自由なのでみんなジェスチャーでコミュニケーションしていると、説明されました。