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沖縄県立那覇病院附属座間味診療所での体験実習終了報告

 

兵庫県・兵庫医科大学5年

金沢且則

 

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はじめに

私は上記事業により平成11年8月14日より8月20日までの7日間、座間味診療所で体験実習をする機会に恵まれましたので、この実習で感じた事を中心に報告致します。

 

座間味島及び座間味診療所について

座間味島は慶良間列島に属し、那覇から高速艇で1時間程度の距離(約40km)にあり、阿嘉島などと共に座間味村として1つの行政単位になっている。比較的経済的には豊からしく、村でフェリー及び高速艇を那覇との間に就航させており、また村内に慶良間空港があるため空路でも那覇とつながっている。手許の資料によれば、世帯数279世帯、人口611人とのことであるが、この島はスキューバダイビングが盛んな島で、ダイブショップの夏季だけの住み込み者や観光客、キャンプに来ている人達などが相当数おり、この時期の実数としては人口2,000人程度であると考えられる。

 

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島内には座間味、阿真、阿佐の3つの集落があり、集落間の徒歩での移動は病人には困難と考えられる距離(約2km)であるが、診療所のある座間味集落と他の集落間に公共輸送手段はなく、阿真、阿佐の患者は車を持っている人に乗せてきてもらうか往診に来てもらう以外に医療を受ける機会はない。このため、診療所には往診及び患者搬送用の車が1台配備されている(余談であるが、港に面し民宿やダイブショップの集中する座間味集落と阿真、阿佐集落の間だけでも相当の経済較差があるようであった)。

診療所は医師1名、看護婦1名、事務員1名の体制で、1日の外来患者数は新患、再診合わせて(1週間の平均で)往診を含めて約20名、再診患者の大半は高血圧、糖尿病、脳梗塞に拠る片麻痺などの慢性疾患で、プライマリーケアが中心であった。前述の通り比較的那覇に移動しやすい為、分娩、眼科、尿路系疾患などの患者の那覇までの移動が簡単で「診療所で全て抱え込まなくてはならない」状態ではないため、離島としては高質な医療を受ける機会に比較的恵まれた島であると思う。

診療所の饒波先生は、「慢性疾患の患者に対して、薬物の投与によって体を痛めつけるのは忍びない」というお考えから、鍼による電気治療をとり入れておられて、腰痛、片麻痺などのcontrolには、薬物の投与よりも電気治療を優先して行っておられた。患者さんのQOLという観点だけでなく、医療費の節約という観点からも非常に有効な手段であると思う。

 

 

 

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