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発災後3週間を経た時点で、罹災都市借地借家臨時措置法が被災33市町に適用され、罹災証明の発行も始まった。

発災1ヵ月後、兵庫県は「ひょうご住宅復興会議」を開催し、約3週間で「ひょうご住宅復興3ヶ年計画(案)」が発表され(発災後7ヵ月で策定)、3月末には、災害公営住宅の建設が着手された。

一方、神戸市では、「神戸市震災復興緊急整備条例」に基づいて、発災後半年を経て、「神戸市震災復興住宅整備緊急3ヶ年計画」を策定し、約1年を経過した時点で、公営住宅の供給増を骨子として見直し、家賃低減策、民間住宅の復興支援等を内容とした「神戸のすまい復興プラン」を策定した。

2つの計画・プランにおける住宅供給には、1] 公共主導型、2] 公民連携型、3] 公共支援型、4] 民間促進型の4つのタイプがあった。

 

[公共主導型の住宅建設] 公共主導型は、災害公営住宅の建設、市街地再開発事業での住宅建設、公団・公社による住宅供給があった。「神戸のすまい復興プラン」では、必要住宅建設戸数の約44%を占めている。

また、改正された公営住宅法を活用して、震前から実施していた家賃減免制度を拡充した「震災一般減免制度」や「震災特別減額制度」の新設によって、最も収入が少ない被災者層では家賃が70%減額され、立地条件によっては、40m2で6,000円/月での入居を可能としている。

さらに、インナーシティに多くの高齢被災者が生まれたため、我が国ではじめて、災害公営住宅に、コレクティブハウジングが建設された。

 

[公民連携型の住宅建設] 公民連携型は、密集市街地等での住宅供給が困難な公共主導型の住宅供給を補完するものであり、「民借賃(民間借り上げ公営住宅)」と「特優賃(特定優良賃貸住宅)」等の制度によって、約12%の住宅供給を目指している。

「民借賃」は、公営住宅法の改正(1996年8月)によって、借り上げ方式による供給が拡大されたことを受け、低所得者層向けで公営住宅並みの住宅供給を目指した制度である。

「特優賃」は、震災前の1994年度に制度化され、中間所得者層を対象とした2〜3LDKの住宅を供給しようとする制度である。

 

[公共支援型の住宅建設] 区画整理事業区域に決定された地区や「重点復興地域」等では、上物整備のために、住宅地区改良法に基づく「住宅地区改良事業」、任意事業である「住市総:住宅市街地総合整備事業」や「密集事業:密集住宅市街地整備促進事業」等によって、民間による住宅建設を公共が支援している。「神戸市震災復興住宅整備緊急3ヶ年計画」では、6.4%の供給を見込んでいる。

「住市総」は1994年に制定され、従前居住者用賃貸住宅等建設費、従前居住者用賃貸住宅家賃対策費等が補助対象となっている。神戸市では、1995年3月17日の都市計画決定と同時に、5地区約722haの整備計画が建設大臣によって承認された。なお、「住市総」の事業区域には、約135haの都市計画決定区域が重複しており、事業推進のための“受け皿住宅”の建設促進に活用されている。

「密集事業」は1994年(平成6年)に制定され、地区道路・小公園等の地区施設整備、一定の従前居住者を対象とする従前居住者用賃貸住宅の建設および公的住宅への入居斡旋、建て替え後の民間賃貸住宅に再入居する低所得の従前居住者への民間賃貸住宅建て替え促進家賃対策補助等が用意されている。神戸市では、発災後3地区約30haが指定された。なお、部分的に「住市総」との重複指定や組合施工による震災復興土地区画整理事業区域も含まれている。

 

 

 

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