3月17日には他にも重要な告示が行なわれた。「神戸市震災復興緊急整備条例」に基づく「重点復興地域」24地区、約1,225haの指定である。
「重点復興地域」は、「都市再開発方針」における「二号市街地」に相当するものであり、1] 都市計画決定区域、2] 都市計画決定区域の周辺でとくに被害が大きく一体的整備を必要とする地域、3] 震災前から地域によるまちづくり協議会などの活動がある地域、4] 震災前からの「都市再開発方針」等の計画で副都心をはじめとする整備拠点として位置付けられている地域、に大きく分類できる。
この指定によって、神戸市の「震災復興促進区域」は「黒地地域:都市計画決定区域」、「灰色地域:都市計画決定区域以外の『重点復興地域』」、「白地地域:『重点復興地域』以外の『震災復興促進区域』」という、その後の復興まちづくり取り組みの対象となる“地域的枠組み”が決定された。
[まちづくりに向けて] 神戸市では、全市の復興ビジョンがないまま、3月17日の第一段階目の都市計画決定に基づき、住民の意見・要望を取り入れる第二段階目の都市計画決定のプロセスに入った(「神戸市復興計画」は、3月末にガイドラインが公表され、6月末に策定された)。ここで用いられた手法が、「まちづくり協議会」方式であった。
神戸市では、地区計画等の案の作成手続き、まちづくり提案、まちづくり協定等を定めた「神戸市地区計画及びまちづくり協定等に関する条例」を、全国に先駆けて1981年12月に制定し、阪神・淡路大震災以前に、真野地区等27のまちづくり協議会が発足していた。
出所:(財)神戸都市問題研究所『震災復興の理論と実践』
(勁草書房、1996)82頁
阪神・淡路大震災の復興まちづくりにおける「まちづくり協議会」方式は、上記条例に基づいて財政援助やまちづくりコンサルタント派遣を行ない、住民からのまちづくり提案によって、第二段階目の都市計画決定を行なうものであった(図5)。したがって、都市計画決定区域内では、必然的にまちづくり協議会を結成せざるを得ない状況となった。
発災後に結成されたまちづくり協議会の当初の仕事は、組織づくりであり、まちづくり案の検討過程の周知であった。そのため、市からの財政援助を活用した“復興まちづくりニュース”がほとんどすべてのまちづくり協議会から、定期的に発刊された。
5. 阪神・淡路大震災での住宅再建
阪神・淡路大震災からの住宅再建は、被災家屋の撤去から始まった。
家屋の解体・撤去の費用の膨大さや業者の確保等には数多くの課題があり、それらを解決していかなければならなかったが、発災後10日余りの時点で、我が国で初めて、撤去費用の全額公費負担の措置がとられた。
最大時32万人以上の避難所生活者にとって、住宅の確保が急務であったが、発災後3日目には、兵庫県が約3,000戸の応急仮設住宅を発注し、7ヵ月後には、被災市町内外に、約48,500戸が建設された。