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[民間の住宅建設の促進] 民間による自力再建を公的融資等で促進しようとするものであり、「白地地域」が主たる対象である。

「神戸のすまい復興プラン」において民間自力再建は37.5%が見込まれているが、その促進措置としては、住宅金融公庫融資の拡充、「被災住宅再建対策事業」や「阪神・淡路大震災復興基金」による利子補給等各種取り揃えられている。とくに、「阪神・淡路大震災復興基金」では、多様な自力再建に対応して、「高齢者特別融資(不動産活用型)利子補給」「小規模共同建替等事業補助」、「隣地買増し宅地規模拡大利子補給」等10以上の制度が創設された(表2)。

 

表2 神戸市による民間住宅建設への公的支援

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出所:(財)神戸都市問題研究所『震災復興の理論と実践』(勁草書房、1996)189頁

 

自力再建の大きなネックは、狭小宅地と未接道宅地(裏宅地)であり、通常の方法では自力再建が不可能な状態であった。そこで、神戸市では、1993年に制定した「神戸市インナーシティ長屋街区改善誘導制度」の拡充、組合施工によるミニ区画整理への「被災市街地復興特別措置法」の適用、近隣が協調して道路整備と住宅再建を行なう場合に私道の整備助成等を行なう「道路整備型グループ再建制度」の創設等、数々の施策を実施している。

 

[マンションの再建] 阪神・淡路大震災で、新たに浮び上がった課題は、被災マンションの再建であった(約10%、2万戸が中程度以上の被災)。被災マンション、とくに、分譲マンションの再建には、1] 既存不適格、2] 合意形成の難航、3] 再建資金の不足、4] 抵当権の存在、5] 事業協力者の不足等、多くの課題を解決しなければならなかった。

既存不適格は、新都市計画法による地域地区指定変更によって生み出され、再建を選択すると従前戸数が計画できない被災マンションが数多くあった。そこで、“震災復興型総合設計制度”を創設し、公開空地を設けることによって容積率緩和を行なった。この緩和措置によって、小規模敷地や第一種住宅専用地域を除いて、多くの被災マンションで従前戸数の再建が可能となった。

合意形成の難航については、発災2ヵ月後に施行された「被災マンション法:被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」によって、被災から3年間は4/5以上の多数によって再建の決議が行ない得るようになった。

また、「すまい・まちづくり人材センター」から専門家が派遣された。

再建資金の不足については、「優良建築物等整備事業:優建事業」の拡充による面積要件の緩和と補助率のアップ、「阪神・淡路大震災復興基金」による「定期借地権による被災マンション建替支援事業補助」の他いくつかの利子補給等の事業が行なわれた。

抵当権の抹消については、多くの場合、居住者自身による“建て替え中の抵当権の保留”によってクリアせざるを得なかった。事業協力者の不足についても、居住者の自助努力に期待がかけられた。

 

 

 

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