[復興へ向けて] 被災者への対応等に忙殺されていた神戸市は、1月26日に「震災復興本部」を設置し、31日には「震災復興市街地・住宅緊急整備の基本方針」を発表した。
この基本方針は、1] 市街地・住宅整備の推進と建築制限の実施、2] 震災復興緊急整備条例の制定、3] 住宅供給の推進、4] 国への要請から成っており、その後の復興まちづくりの骨格の全てが含まれているものであった、この基本方針に基づき、2月1日には建築基準法84条による建築制限を6地区、約233haに適用した(3月17日まで延長)。
2月16日には「神戸市震災復興緊急整備条例」を公布・施行し(3年の時限)、震災復興事業等との整合性を図りつつ災害に強い街づくりを進める必要のある地域として「震災復興促進区域」を指定し、3階以上の建物について、建築確認申請の30日前までに位置、用途、構造、規模等の届け出を義務付けた。指定された区域は、1985年に策定された「都市再開発方針」における「一号市街地(計画的な再開発が必要な市街地、約4,780ha)」と臨港地区(ポートアイランドと六甲アイランドを除く)を併せた約5,887haであり、神戸市沿岸6区(東灘区〜須磨区)の市街地のほぼ全域を含んでいた。
2月21日に、前記建築基準法84条適用区域を5地区の土地区画整理事業、2地区の第二種市街地再開発事業、1地区の地区計画に分割した都市計画決定案の内容を発表し、28日から縦覧を始めた。計画内容の周知については、地域住民のほとんどが避難しており、説明会会場の確保もできない状態であったが、現地相談所の開設、自治会役員等への働きかけ等を行なうとともに、1] 「震災復興まちづくりニュース」の発行、2] 「こうべ地震災害対策広報」の活用、3)地区内での看板設置等によって、関係住民への広報を行なった。
混乱の中で、計画案のコピーすらとれない状況であったが、関連地区住民からの反応は鋭く、3,000を超す意見書が提出された。3月16日、兵庫県都市計画地方審議会が開催され、「今後、住民との意見交換を十分行なうこと」という付帯意見を付けて原案通り可決された。
翌3月17日の都市計画決定は、「二段階方式」の第一段階目であった。「二段階方式」は阪神・淡路大震災で初めて採用された方法であり、土地区画整理事業における第一段階目の都市計画決定では、施行区域、幹線道路、5,000m2以上の公園等の大枠のみを決定し、その後、住民の意見・要望を踏まえて、区画街路や街区公園等を第二段階目で都市計画決定するものである(図4)。以上の第一段階の都市計画決定の他、2月26日に公布・施行された「被災市街地復興特別措置法」に基づく「被災市街地復興推進地域」が、5地区の土地区画整理事業、2地区の第二種市街地再開発事業の区域に都市計画決定されるとともに、単独の都市計画街路と公園の都市計画決定もなされた。