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消防がこの種のスポーツ大会を主催することはまれな事であり、運営には戸惑う事も多かったが、職員の創意工夫で一つひとつ解決が図られた。また意外性、話題性でマスコミにも取り上げられ、参加者からの好評を得て毎年開催している。

住民が消防署に集い、消防とふれあって防火の認識を新たにする。加えて「消防ここにあり」を示す意義は大きいと思っている。

 

二 描き続け親しまれて二四年の大型防火看板

タテ四m、ヨコ五・五mのジャンボサイズのキャンパスに職員が絵筆をふるって人気アニメのキャラクターを登場させ、防火メッセージを入れて描き、庁舎壁に掲げている。これは昭和五〇年秋から描きはじめ、火災予防運動時に描き替えるようにして、二四年もの長きにわたって描き続け、当消防本部の広報シンボルとなっている。

沿道のドライバーや通学の子供達の目に真先に飛び込む位置に掲げ、子供達が指さしながら「あっポケモンだ!」「おじゃる丸だ!」と喜んでくれる。署内見学で訪れる子供から「今度はキティちゃんも描いてね」とリクエストもありすっかり親しまれる存在となっている。

この大型防火看板を描き続けたことで、とかく固い消防署のイメージが和らぎ、住民のコミュニケーションを誘い、職員も広報に目を向け発展するきっかけとなった。また、車庫上に掲げる防火標語の看板や各種催しでの看板類も職員が手掛けるようになり、経費節減にもつながっている。このためか、アイデアと腕も磨かれ、管内で開催されている手作りかかしコンテストに「消防かかし」を出品し見事最優秀賞を受賞。思わぬ防火PR効果も発揮している。

 

三 紙面による広報

各町が毎月発行する広報紙に「消防だより」という枠を設けてもらい、これに消防の動きや防火防災に関する事、また身近な事例を盛り込んで記事を書き掲載している。管内農協の機関紙「農協だより」へも毎月記事を掲載している。この記事は農家における、農作業にかかわる火災防止、事故防止等に関するものに限られ「なくそう農業機械による事故」「応急手当・まむしに咬まれたら」などと題して事例を交えながら事故防止を呼びかけている。

他には、年二回広報紙を発行し、また時期に合わせて水難事故防止、人工呼吸法、火災救急活動状況、通報要領などチラシを発行している。

 

四 自主防災組織の育成と巡回広報

婦人防火クラブ五、少年消防クラブ二、幼年消防クラブ九の計一六クラブ一千四百人余りの自主防災組織が活動している。婦人防火クラブは、消防出初式や文化財防火訓練にも参加し、幼年消防クラブは、商店街の防火パレードや防火ハッピによる通園を実施。防火パレードでは職員がぬいぐるみを着て応援するなどクラブの育成指導に努めている。

また、広報車による巡回広報は、朝夕二回「お出かけ前、お休み前」の予防広報を毎日行っている。さらに、高齢者防火教室、婦人学級での消火器取扱指導、地区ごとの防火講習会、救急実技指導、事業所の消火、避難、通報訓練など地域へくまなく足を運ぶ防火活動を念頭に取り組んでいる。

 

おわりに

予防広報は実施したからといって即効果が表れるものではなく、ロングレンジで取り組むことが必要である。しかし、長く同じようなことをやると、刺激が弱くなりマンネリ化は否めない。

これは職員一人ひとりが広報マンの意識で視点や手法を変え発想の転換で解決を図るべきだと思う。

当消防本部は今年四月一日から、広域合併により「佐賀広域消防局小城消防署」として再スタートするが、これまで築いてきた「身近な消防署」としての存在を継続するためにも地域の特性、生活環境や年代層に応じた消防広報を展開し、住民の意識の中に防火を根づかせ、さらに消防のイメージアップに努めたい。

(持永実)

 

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