しかし、夏季の海水浴シーズンになると交通量も多く、大型バス等が絡む事故になれば、大規模災害になることが予想される。
このような悲惨な事故にならないことを祈ると共に、複雑多様化する各種災害に備え迅速・的確に対応するため、小規模消防署である綾部市では、近隣市町村との応援協定を基に、様々な条件を想定した訓練を実施し、区域を越えた災害にも適切に対応できるよう日々努力している。
(本田文夫)
予防・広報
身近な消防で防火意識の高揚
小城地区消防事務組合消防本部(佐賀)
はじめに
佐賀県は、弥生時代の夢を彷彿させる「吉野ケ里遺跡」の発掘で話題を呼び、また広大な佐賀平野に色鮮やかな「熱気球(バルーン)」が浮かぶ情景と有明海の干潟で愛嬌をふりまく生きもの「ムツゴロウ」でも知られるところである。
当消防事務組合は、この佐賀県のほぼ中央部に位置し、小城郡四ケ町で構成され、面積九五km2、人口約四万六千人である。北に秀峰天山を望み、南には有明海に面する大穀倉地帯が広がり農業と商工業を基盤として発展している。近年、隣接する佐賀市のベットタウンとして住宅の増加が目立っている。
消防体制は、一本部一署を併設し、職員数五〇名で組織されている。昭和四六年一〇月設立以来、二九年目を迎えるところであり「活力ある消防」を基調に置き、「災害のない明るい町づくり」を目指して日夜消防業務に励んでいるところである。
一 火災予防ゲートボルと火災予防ロードレース大会
「待ちの消防」から「攻めの消防」への転換の一つとして始めたのが「火災予防ゲートボール大会」と「火災予防ロードレース大会」である。
消防の広報下手、予防消防の浸透力の弱さを少しでも解消しようと、攻めの消防で積極的に住民を呼び込もうと始めたのが、この催しである。
昭和六〇年九月にゲートボール大会を開催し、これの成功を見て翌年一月にロードレース大会を開き、春と秋の火災予防運動時に行う当消防本部の二大イベントとして地域に定着するようになり今年で一四回目となる。
ゲートボール大会は高齢者を対象とし、管内各町から選抜された一六チーム二百名が参加して、消防署のグランドを使って熱戦を繰り広げる。職員は進行、世話役となり、休憩時には消火、救急、救助の訓練を披露し、心肺蘇生法の実技や消火器取扱いを体験してもらう。
ロードレース大会は、比較的防火のメッセージを伝えにくい若年層をねらい、小学四年生以上を対象に参加者を募り、二・五kmと四kmのロードレースの部、一チーム四名、一人二・五kmの駅伝の部に分け、消防署をスタートゴールとして周辺を走る。総勢四百名となり駅伝の部は五〇チームを超える。会場には消防活動写真やパネル類を展示し、また参加者による消火器の取扱い訓練も体験してもらう。