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人口は四万人弱で、市街地付近に集中し、農山村地域では過疎化と高齢化が進み、高齢化率は二五パーセント以上に達している。

近年、舞鶴自動車道及び京都縦貫道の開通、JR山陰線、舞鶴線の電化・高速化などの広域交通ネットワークの整備や、綾部工業団地の完成、本格稼動、京都北部中核工業団地の事業化など、本市周辺の広域圏内で産業・経済基盤の充実・強化のため大型プロジェクトが大きく進展している。

消防体制は、一本部・一署・一分駐所、職員数四九名で、当市では、行政運営の指針となる綾部市新総合計画を策定し、希望に満ちた輝かしい二一世紀に、「小さくともキラリと光るまちづくり」を基本理念に積極的にまちづくりを進めている。

救急体制は、本署一隊、分駐所一隊の計二隊を運用、平成七年一一月に二B型救急車による救急高度化を図り、平成九年一一月に高規格救急車第一号を配置し、現在救命士九名が活動している。

救助体制は、消防隊と兼任であるが、平成七年一二月に救助工作車II型を配置し、救急・救助の高度化を図っている。

今回ここで紹介する救急・救助事例は、舞鶴自動車道下り六四、七キロポスト付近において普通乗用車同士の正面衝突事故で、六名の死傷者の内、双方の運転手及び助手席の三名が車内に閉じ込められた事故事例である。

 

一 事故発生概要

(一) 発生日時

平成一一年八月一二日 木曜日

一四時五〇分頃

(二) 発生場所

綾部市有岡町

舞鶴自動車道下り六四、七KP付近

(三) 時間経過

覚知時分   一四時五七分

現場到着時分 一五時〇六分

救助完了時分 一五時二七分

(四) 覚知時間内容

携帯電話による一一九番通報により「舞鶴自動車道綾部ICから舞鶴よりで、車同士の正面衝突事故があり三名車内に閉じ込められています。」

(五) 死傷者の状況

死亡 一名(四六歳男性)

重症 一名(四三歳女性)

中等症四名(二八歳男性)

〃(二八歳女性)

〃(六歳男児)

〃(二歳男児)

(六) 出動車両・人員

指揮広報車  綾部市 一台一名

救助工作車  綾部市 一台三名

舞鶴市 一台六名

高規格救急車 綾部市 一台三名

舞鶴市 一台三名

救急車    綾部市 一台三名

消防隊    綾部市 一台三名

舞鶴市 一台五名

(七) その他の機関

高速隊  パトカー 二台六名

道路公団  事故処理車一台二名

 

二 事故発生の状況

事故の発生場所は、片側一車線対面通行の暫定二車線第一種三級B高速道路のやや登り坂直線で、下り車線を走行中の普通乗用車が、車線をはみ出し、対向車線を走行中の普通乗用車に正面衝突し、双方の男性運転手と当てられた普通乗用車助手席の女性が、車内に閉じ込められ脱出不能状態になったものである。

 

三 活動概要

舞鶴自動車道の業務管轄範囲は、綾部インターから舞鶴西インター間の下りが綾部市で、上りが舞鶴市の管轄であるため覚知と同時に、綾部市及び舞鶴市消防署から同時に救急救助出動する。

現場到着した頃には、高速警察隊により既に交通規制が行われており、綾部市消防署指揮隊は、事故概要を調査の結果、車内に重症二名と中等症一名、車外に中等症三名の要救助者を確認、本部へ支援隊及び救急隊の増隊を要請する。

高規格救急隊は、傷病者を直ちに観察後、トリアージを実施、車内に閉じ込められているCPA患者にCPRを実施する。

救助隊は、助手席の女性を救出後、車外にいた三名と一緒に高規格救急車に収容する。

この頃、舞鶴市救急救助隊が現場到着し、他の要救助者二名の救助に協力していただいた。

CPA患者の救出は、後部座席をスライドすることにより救出でき、CPRを継続しながら、舞鶴市高規格救急隊に引き継ぐ。

もう一名は、運転席部分が押しつぶされ、ダッシュボード及びダッシュパネルにより腹部及び下腿部が挟まれ、脱出不能状態であったため、事故車両後部の牽引フックにアンカーをとり、支援車に固定。ハンドル軸にワイヤーを取り付け、舞鶴市消防署救助工作車のウインチにより牽引、ハンドル及びダッシュボードを引き起こし男性を救出した。直ちに綾部市支援救急隊に引継ぎ救助隊は、救助活動を完了した。

 

 

 

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