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下り線に停滞している一般車両を誘導移動した後、水槽付消防車、化学車、救助工作車を下り線に移動し、避難通路付近に部署するが、トンネル内は少量の白煙が漂っている。避難通路の鉄扉を開けると黒煙、熱気は停留している状態であるが、上り線に出ると熱気が激しく濃煙で視界が全くなく恐怖感に襲われ息苦しさを感じる。通路から左(西)前方でトラックが燃えているのを確認したので下り線の消火栓から水槽車に中継し注水すると共に、上り線の消火栓からも放水するが視界が一メートル程であり、熱気も強く筒先隊員は三分から五分間の消火作業が限界なので順次筒先を交替しながら鎮圧、鎮火したものである。

 

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四 あとがき

活動概要で記述のとおり、本火災は特に密閉状態に近いトンネル内の濃煙と熱気が重大な活動障害となり、災害状況の実態把握に長時間を要したことが重要な課題であり、仮に多重事故等による多数の要救助者の発生災害であったならば悲惨な災害となっていたことが十分に想像できる。人命救助最優先の観点からもこの体験を教訓に今後の警防活動に役立てていきたいと考えている。

鎮火後に赤磐消防隊と現場確認したところ、火災車両の後方(西)に町境界を示す標識で、東備消防組合の管轄であるのを確認する。帰署後、路線図を見るとKPと標識が異なっている。翌日道路公団及び両消防本部立ち会い確認したところ、トンネル内の側壁に表示されている標識が約百メートル西側にずれ、火災現場は一一〇、八八KPで、赤磐消防組合の管内であるのを確認する。

(香山延義)

 

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救急・救助

高速道路における正面衝突事故の救急救助活動

綾部市消防本部(京都)

 

はじめに

綾部市は、東西には東経一三五度三二分から一三五度一一分、南北には北緯三五度一六分から三五度二七分に位置し、京都府のほぼ中央に当たり、京都市からの距離は約六〇キロメートル、また、大阪市からの距離は約七〇キロメートルである。

市域は、府下の二市四町と福井県に境を接し、京阪神都市圏への時間距離は、鉄道で京都市には一時間余り、大阪市へ約二時間、道路では共に約一時間三〇分となっている。

地形は、東西約三二キロメートル、南北一五キロメートル、市域面積が三四七、一一平方キロメートルと広大で、近畿地方の市町村では、京都市、神戸市、篠山市に次いで第四位で、京都府の面積の約七、五パーセントを占め、市総面積のうち約七七パーセントが森林となっており、非常に豊かな森林資源を有している。

また、当市は中国山脈の余波を受けた丹波高原の中にあって、市街地北側を貫流する由良川は、流路延長一四六キロメートル、流域面積一、八八〇平方キロメートルで、近畿地方で日本海に注ぐ河川では最大級である。

気候は、日本海中部に近い盆地型で、気温は、寒暖の差が大きい内陸型の性質を示し、降水量については、山間部を除けば冬季の降雪量も比較的少なく、年間降水量も我が国の平均値に比べてやや少なくなっている。

 

 

 

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