火 災
高速自動車道におけるトンネル火災
東備消防組合消防本部(岡山)
はじめに
東備消防組合は、岡山県の南東部に位置する一市四町(備前市、日生町、和気町、佐伯町、吉永町)で構成されている。
管内面積は四〇二、四四km2、人口六万二千人で、一本部二署三出張所等で、消防職員九二名で防災の任務に当たっているが、合理化案により平成一二年四月一日から一本部、一署三出張所体制になるので、現在庁舎建設が急ピッチで進んでいる。
ここに紹介する火災事例は、管内を東西に走る山陽自動車道の和気ICと山陽IC間のトンネル内で発生した車両火災で、隣接消防本部に応援出動した火災である。
一 火災概要
(一) 出火日時
平成一一年八月一〇日 二二時五〇分頃
(二) 出火場所
岡山県赤磐郡熊山町奥吉原地内、山陽自動車道上り線福富トンネル(全長一、〇九一m)内一一〇、八八KP
(三) 覚知時間 八月一〇日 二三時四九分
(応援要請時分)
(八月一〇日 二三時〇九分赤磐消防覚知)
(四) 鎮圧時間 八月一一日 一時三八分
(五) 鎮火時間 八月一一日 一時四二分
(六) 焼損状況
大型トラック(一〇トン)一台と積載荷(衣類、雑貨等約七トン)出火車両前後約三〇〇メートルの側壁、照明設備及び通信ケーブル等
(七) 出動車両及び人員
ア 東備消防組合
水槽付消防車、化学車、救助工作車の計三台 一一名
イ 赤磐消防組合
水槽付消防車、ポンプ車、指令車の二名計三台 一二名
二 現場付近の状況
山陽自動車道の備前ICから岡山IC間は、平成五年一二月に供用開始となるが、この区間はトンネルが多くあり、特に今回火災が発生した和気ICから山陽IC間は、一四キロメートルの区間に上下線とも七本のトンネルが連続している。
三 活動概要
赤磐消防組合から福富トンネルの上り線で車両火災が発生しているが、停滞し現場確認ができないので応援の要請を受け出動する。和気ICから下り線に進入するが、下り線は停滞しており進行できない。上り線が通行止めになったのを確認後、逆走して福富トンネル上り線の東坑口に部署する。
トンネル坑口全体から濃煙と熱気が噴出して、黒煙は真上に広がりながら上昇しており、熱風も強く噴き出している。
下り線を徒歩で人命検索し現場確認をしながら来た赤磐消防隊員と合流し、赤磐消防隊と合同で空気呼吸器を着装して上り線東坑口から進行するが、照明設備は消えており懐中電灯で足元を照らして進行するが、進むにしたがい、視界は遮られ熱気も強くなり体感で百度以上に感じられる。
約二四〇メートル進入した所で赤磐消防隊の後続隊と出合う。燃えている明かりは見えるが、濃煙のためどう燃えているのかわからない。また、輻射熱で近づくことができないとの事で、これ以上の進入は不可能と判断し、トンネル東坑口まで引き返す。
東備消防隊の後続隊も到着したので、赤磐消防隊と再度協議し、下り線から進入してトンネル中央部にある避難通路から現場確認することにする。