今年は八二一点の応募があり、三賞については秋の火災予防運動のPRイベント会場で表彰と展示会を開催しました。これらは、市政だより・防火協会広報誌「しろはと」・新聞等で掲載されました。
また、夏休みを利用して各小学校一五人ほど(計一五〇人)が、三日に分けて消防士の仕事を実際に体験する「BFC一日体験入署」を開催しています。毎年好評で今年で八年目になります。
主な講習内容
・救急講習(応急手当・心肺蘇生法)
・消火器による油火災消火訓練
・放水訓練
・はしご車搭乗体験
・訓練塔でのロープ渡過訓練
この三日間は署員がマンツーマンになって取扱いの指導にかかわります。ときには、ゲキもとびますが、体験終了後、修了証をもらう子供たちの笑顔に署員の汗も疲れもとれてしまいます。
三 地域ぐるみで火災予防
阪神・淡路大震災は、神戸市とその周辺に未曾有の被害をもたらしました。当市も震源地から三〇キロメートル余りのところであり少なからず被害を受けました。また、市の北部には、山崎断層がひかえていますので、その震災対策は、急務となっております。
この震災のとき普段からのコミュニケーションのある地域では、隣近所の人たちによる救出、消火が行われたことが、教訓となりました。当市はこの教訓を踏まえ、自治会単位を中心とした自主防災組織を設立し、平成一〇年から補助金交付要綱を制定して市企画部と連携し、育成に努めています。
補助金からは防災用品等の購入及び実践力を高めるための訓練等に要する経費が補助されます。
阪神・淡路大震災後、地域での防災意識が高まり、自主防災組織も含め自治会からの防災教室や消火訓練に真剣さが増しているのが感じられます。
今までの消火器訓練に加えて家庭に身近な天ぷら油を使い、実際に火災になる様子を実験で披露し、その消火方法等その町内会の公園や空き地へ出向き、指導しています。
今までは、天ぷら油の実験装置は一回するごとに作り直していましたが、要請が増えてきたので、署員手作りの組立式天ぷら油実験装置を改良し、汚れても取り替え可能なものにし、要請の対応と経費節減に発揮できました。
四 おわりに
当市は昭和二三年に消防本部が設置されて以来工場防災に重点が置かれた時期がありましたが、今や火災件数のトップは住宅火災となり、さらに高齢化が進み、旧市街地では独居高齢者も増加しております。
地域住民一人一人が「火事を出さない」を合言葉に火災予防の知識と訓練を行ってきました。予防行政は地味と言われますが、災害弱者対策のソフト面の対応が注目されています。今、予防係員として専門知識も必要ですが、住民、特に災害弱者側の立場に立って指導ができて、心がお互いに通じ合えるような職員の育成を、ハード面以上に努めていかなければならないと考えています。
(船木修三)