消防ヘリコプターと救急車で命のリレー
〜初めての臓器搬送〜
京都市消防局
平成一一年六月一四日、京都市消防局では、脳死患者から摘出された臓器(肝臓)の搬送を初めて実施しました。
この搬送は、「貴い命のリレー」を確実にゴールまでつなぐという重責を担ったものでしたが、京都府警察本部や(社)日本臓器移植ネットワークなど、各方面の積極的な協力を受け、スムーズに行うことができました。
臓器搬送依頼
六月一四日午前〇時、(社)日本臓器移植ネットワーク近畿ブロックセンターから摘出臓器の搬送依頼がありました。
その内容は、
(一) 宮城県内の病院において、「臓器の移植に関する法律」に基づき脳死判定を受けた男性から肝臓を摘出し、それを臓器移植施設である京都大学医学部附属病院(以下「京大病院」という。)まで緊急に搬送する必要がある。
(二) 摘出された肝臓は、京大病院臓器移植摘出チームの医師らとともに仙台空港から伊丹空港までチャーター機により搬送されてくる。
(三) 臓器搬送に当って、京都市消防航空隊(以下「消防航空隊」という。)ヘリコプターによる伊丹空港から京都府警察本部のヘリポート(以下「府警ヘリポート」という。)までの搬送と、救急車による府警ヘリポートから京大病院までの搬送を京都市消防局に依頼したい、というものでした。
臓器搬送依頼の受託と出動態勢
搬送依頼を受けた当局では、直ちに局長以下で構成する「京都市消防局臓器搬送検討委員会」を開催し、同日午前一時三〇分、受託を決定しました。そして、臓器搬送に関する事前計画に従って出動部隊の編成を行い、態勢を整えました。
臓器搬送活動概要
伊丹空港への臓器到着予定時刻が午後八時と決定したことから、消防航空隊、救急隊及び支援部隊に対し、出動を指令し、臓器搬送活動を実施しました。活動の概要は次のとおりです。
(一) 消防航空隊は、午後五時五〇分、伊丹空港に向け出動し、当該空港から府警ヘリポートまで臓器と臓器移植摘出チームを搬送しました。
(二) 救急隊は、臓器及び臓器移植摘出チームを府警ヘリポートから京大病院まで救急車で搬送し、午後八時二六分に搬送を完了しました。
(三) 消防隊及び指揮隊で編成された支援部隊は、府警ヘリポートに出動し、消防航空隊の着陸誘導等の支援活動を実施しました。
(四) 更に、天候の急変等により、消防航空隊が府警ヘリポートへ着陸することが不能な場合を考慮し、救急隊、消防隊、指揮隊及び電源照明車で編成した特別支援部隊を鴨川公園の飛行場外離着陸場に出動させ、万全の体制を整えました。
関係機関との連携
臓器搬送は、迅速・確実に行うことが最も重要であることから、当局では、事前に「移植用臓器等の緊急搬送に関する連絡協議会」への参画など、京都府警察本部、(社)日本臓器移植ネットワーク近畿ブロックセンター及び京大病院等の関係各機関と臓器搬送に関する種々の協議及びシミュレーションを行ってきたところです。