三田市「さんだし」消防本部は、兵庫県の南東部に位置し、神戸市街地から約二五km、大阪市から約三五kmの圏域にあり、「北摂三田ニュータウン」の整備が急速に進む、昭和六二年から十年間連続人口増加率全国第一位として有名な街の本部である。
平成七年一月の阪神・淡路大震災では、奇跡的にも被害がなかった本部であり、神戸市消防局を始め隣接する各市と応援協定を結んでいる当本部は、発災から四時間内には、ポンプ車二台と救急車一台を阪神間の震災現場へ派遣し活動を行った。
管内は、「北摂三田ニュータウン」を別にすると、自然にあふれた落ち着いたたたずまいを残す街で、いたるところには田畑が残り、シイタケ狩りやハイキングを楽しめる観光農園が点在している。
この様な、豊かな自然と近代的な都市環境をもつ三田市は、二十一世紀の田園都市として発展が期待される。
消防本部の発足は、昭和四一年五月で、翌年の四月には消防署を開設し、現在一本部一署、消防職員七八人と消防団七分団、団員七〇四人で構成され、管内約二一〇km2に居住する一一万余名の地域住民の防火・防災を担っている。
★近代的な消防庁舎と消防装備
大震災の教訓から防災活動拠点として、重大な役割を果たす消防庁舎は、大規模災害発生時でも耐え得る構造で近代的な庁舎として、平成八年四月に完成している。建物概要として、敷地面積六、三〇〇m2に、消防庁舎が延床面積三、〇三九m2の鉄筋コンクリート造三階建、消防訓練棟については、鉄筋コンクリート造五階建、延床面積三七六m2を誇る二棟を耐震構造で建築されている。
消防装備については、建築物の高層化・大規模化など急速な都市の進展(人口増加率全国一位)、或いは、高齢化社会の到来に対応するために、当本部では、二十一世紀に向けたハード面での近代消防装備の配備、及びソフト面での救急業務能率の向上のための人材育成など積極的に推進している。
現在、救急隊員としての資格(II課程)を有する職員はほぼ全員で、うち、救急救命士は十一人であり、本年の四月には三台目の高規格救急車を導入予定である。
また、高層化・大規模化する市街地の消防、救助活動に対応するため最新鋭の五〇mはしご車と救助工作車を導入している。
さらに、これら消防力を最大限に発揮させるため、最新鋭の一一九番通報を受信・処理する消防緊急通信指令施設も有している。
その他、消防消火シミュレーションによる体験コーナーや防災展示コーナー等を一階ロビーに設け、防災館としての機能も備えている。
★予防行政
都市形態の急速な変化に対処するため、職員予防研修、対象物の査察や指導の強化をはかり予防行政に力を入れている。市民のニーズに対応した自治会への積極的な防火広報、訓練参加をはじめ、高齢者等の一人暮らしの方への防火診断を行い、市民のコミュニケーションを大切にする積極的な行政サービスづくりを目指している。