ワンポイント
消防職員のための法令解説
調停(二)
五 調停委員会
民事調停は、原則として裁判所の調停委員会で行う(民事調停法五条)。
調停委員会は、調停主任一人(裁判官がなる。)及び民事調停委員二人以上で組織する(民事調停法六条、七条)。
調停委員には、弁護士がなることが多いが、不動産鑑定士やその他の職業の人も委員になっている。
六 調停手続
調停の申立てがあると、裁判所では、調停期日を決め、調停期日に調停事件が開催される。
調停委員が、申立人、相手方双方の意見を聞き、話し合いがまとまれば、調停調書を作成する。
七 調停調書の効力
調停調書が作成されると、それは、申立人、相手方双方に送達される。
調停調書が送達されると、調停調書に記載された事項は、裁判上の和解調書と同一の効力を有し、それは、確定判決と同様の効力を有する(民事調停法一六条、民事訴訟法二六七条)。
従って、調停事項の不履行があった場合は、調停調書によって、強制執行ができることになる(民事執行法二五条、二二条一号)。
和解
一 和解
和解とは、当事者がお互いに譲歩して、当事者の間に存在する争いをやめることを約束する契約である。裁判所で和解する裁判上の和解と、裁判外でする和解がある。裁判外でする和解は、民法上の和解である(民法六九五条)。一般には、示談といっている。和解契約が守られないときは、裁判をして、裁判上の和解か又は判決を得て、履行を強制することになる。
二 裁判上の和解
裁判上の和解は、訴訟になってからの和解である訴訟上の和解と、訴訟になる前の和解である起訴前の和解である即決和解とがある。
訴訟上の和解は、訴訟中に裁判所で、民事上の争いについて、当事者がお互いに譲歩して争いを解決する行為である(民事訴訟法二六四条、二六五)。
裁判上の和解を、和解調書に記載すると、確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法二六七条)。
三 即決和解
即決和解は、民事訴訟の目的とすることができる紛争について、訴えの提起前に、当事者の申立てにより、簡易裁判所でする和解である(民事訴訟法二七五条)。
起訴前の和解を、和解調書に記載すると、確定判決と同一の効力を生ずる(民事訴訟法二六七条)。
全国消防長会
顧問弁護士 木下健治