当地区は、東京・大阪の二大都市のほぼ中間に位置し、交通の大動脈である東海道新幹線及び東名高速道路が東西に通過し、さらに第二東名高速道路の建設も各地で行われています。管轄地域は、静岡県西部地域で、東西に約六〇km、南北に約七〇kmの広さで、南は遠州灘を臨み、西は愛知県・長野県境に接するとともに、また風光明媚な浜名湖を配し、北は南アルプスの前衛となる千m級の山々を連ね、地域の約半分は山間地で町村が点在しております。
また、平成一五年開催の「静岡国体」及び平成一六年開催の「静岡国際園芸博覧会」に向けて各地で準備が進められております。
第一 研究の目的
民間航空会社の医療機器を積載した「医療ヘリコプター(以下「救急ヘリ」という。)」を用いて、医師搭乗の救急ヘリとして運航することにより、郊外や山間地の医療機関の希薄地域に出動した救急隊への現場応援及び医療システムをサポートすることを目的として、主に左記事項を研究対象として実施しています。
一 救急ヘリを組み込んだ医療システムの形態
二 搭乗医療スタッフの検討
三 救急ヘリ出動基準の検討
四 医療スタッフの救急現場での医療行為
五 救急ヘリの運航形態・運航上の問題点
六 受入医療機関のヘリポートのあり方
七 通信システムのあり方
第二 実験研究に当たる施設等の概要
一 救急ヘリ
医療機器を備え、医療スタッフ、パイロット、傷病者等四〜五名搭乗可能なヘリを使用し、基地病院併設のヘリポートに常駐する。
二 基地病院
浜松市内の病院が担当(通信センターを併設)し、医療スタッフの派遣を担当する。
三 医療スタッフ
医師一名(臨床経験三年以上)及び看護婦一名で編成
四 通信センター
消防機関からの出動要請の受理、医療スタッフ、救急ヘリの出動指示、運行管理等に当たる。
五 現場ヘリポート
区域内の公園・運動広場・小中学校等を活用し、二百数十ケ所を確保、救急ヘリと救急隊がドッキング時に使用する。
六 救急ヘリ出動基準
当研究会が策定した傷病者の症状等により消防機関が救急ヘリを要請する場合の判断基準となる。
第三 救急ヘリの運用の概要
消防機関は、救急要請受信時の情報又は救急現場での傷病者の観察結果等を判断し、当研究会が策定した「救急ヘリ出動基準」に基づき通信センターに電話による要請を行います。
同センターは、派遣医療スタッフの出動、救急ヘリのフライト準備の指示をし、救急ヘリに医療スタッフが搭乗後、救急現場直近のヘリポートに向け出動し、要請救急隊とドッキング、救急車内で医療スタッフによる医療行為並びに救命処置が行われます。
その後、引き続き救急車による搬送か、救急ヘリによる搬送か、それぞれの有効性を判断し、救急車による搬送の場合には、原則として医療スタッフが同乗します。