おわりに
本火災においては、付近の道路が狭溢であることを予想していたにもかかわらず、大型タンク車を第一出動させ、その結果現場到着を多少でも遅らせたことは、今後の出動体制に課題を残すものとなった。また、出火室を占有している居住者は出火当時仕事に出かけており、留守であったため、屋内の進入に手間取ったこと及び占有者からの情報がタイムリーに得られず、逃げ遅れた者等の確認に手間取った。
最近当組合管内においては、小規模な共同住宅の建設が多く、今後も同種の問題が露呈されると思われる。これらの問題の解決には、核家族化の進む中、地域とのつながり、近隣とのつながりの重要性をも災害に対する防ぎょの一手段としてアピールする必要があると思われる。
事後の聴取で分かったことであるが、通報者は近くの住民であり、現場付近の通行人が建物内に設置してあった消火器を使用し、初期消火を実施した。結果として、一〇世帯のうち二世帯全損、一世帯小損の被害でおさまったものである。この初期消火活動が実施されていなければ、共同住宅全てが焼損したかもしれない。
このことから、自治会、事業者等を対象とした日頃の初期消火訓練の成果が功を奏したと言える。今後も継続して、消火器の取り扱い方法周知を住民に呼びかけていきたい。
今回の共同住宅火災で再認識したことは、火災、救急及び救助に共通して言えることであるが、消防と消防団の連携、地域住民、また近隣の方の協力が一つになった時に、生命、身体及び財産を守る力が最も発揮されるということである。
これからもより一層、安全で安心な住民の住み良い街づくりを目指し、組織で取組んでいきたい。
(宮本真二)
救急・救助
「医療ヘリコプターを利用した現場応援システム」の実験研究
浜松市消防本部(静岡)
はじめに
静岡県西部地区において、平成一一年四月一日より一年間「救急医学全般の学術及び技術の向上」を目的として、浜松市内の医療関係者を会員とする「浜松救急医学研究会」が主催団体となり、当西部地区の一〇消防機関及び二町一村と医療機関が協力し運用を開始した「医療ヘリコプターによる現場応援システム」の実験研究について紹介いたします。