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逗子市消防本部(神奈川)

 

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湘南の海から潮の香りが心地よくそよぎ、三方を囲む山々が豊かな緑を育む逗子市は、温暖な気候と風光明媚な保養地として明治・大正の時代から文化人に親しまれ、徳富蘆花、国木田独歩、泉鏡花らの文学碑も建造されている。また、交通の便もよく、東京・横浜のベッドタウンとしても発展している。

逗子海岸は波穏やかで、夏は海水浴や花火大会で賑わい、ヨット・ウィンドサーフィン等は一年中盛んに行われている。私にとっても一〇数年前、毎週ウィンドサーフィンに通った、思い出の地である。そして、海を埋め立ててつくられた「逗子マリーナ」は、欧米のヨットハーバーを彷彿させる本格的なリゾートとしてコンサート等も頻繁に開催されている。マリーナの近くには小坪漁港があり、早朝から漁船からの水揚げや競りが行われ、市場には新鮮な魚が並び、マリーナとは一味違う賑わいを見せている。

 

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管内面積は一七・三四km2、人口五七、〇〇〇人の市民の安全を一本部、一署、二分署、消防職員八八名と消防団九個分団、一二九名の消防団員が日夜守っている。

★精鋭部隊ここにあり !

本会が主催する全国消防救助技術大会においては、県並び地区指導会を優秀な成績で突破し毎年陸上・水上の部において入賞を果たしている。これは、先輩から後輩に技術が受け継がれ、限られた人員と限られた訓練スペースを最大限に活用し、消防本部内では一定のタイムを目標に切瑳琢磨するとともに、三浦半島地区(四市一町)においても県の指導会に向け救助技術交換会を開催するなど、厳しく選考を行う等、各々の錬成とともに消防本部全職員が一丸となって取り組んだ成果である。

★全職員で災害に対応 !

夏の海水浴シーズンには水難事故や救急事象が増え、また、コンサートや花火大会等のイベントも開催される。また、平成三年には逗子マリーナにおいて、二本マスト四一tクルーザーヨットが全焼し、損害額は七億円を越える火災が発生した。こうした状況に対応するため、災害には全職員が早期に行動できるよう事務室内においても作業服で待機し、イベントでの警戒や火災予防運動時の防火診断等では、関係する部署以外の職員も総出で対応している。

★組織をこえて火災予防 !

消防における県下の相互応援協定や三浦半島地区における応援協定はもとより、米海軍横須賀基地との消防応援協定も結ばれており、毎年一〇月には池子住宅地内において消火及び部隊運用訓練等を実施している。

そして米軍とは地域防災計画も含めて相互の協力体制を整えている。また、市の防災訓練では、神奈川県警、自衛隊及び米海軍消防隊と合同で防災訓練を実施している。このように地域住民の安全を守るために、組織をこえた協力体制の強化を図っている。

 

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★「三自の精神」のもとに !

山田消防長は二一世紀への消防行政の推進として、時代の変化に対して柔軟な対応が必要となり、そのためには、職員一人一人が消防を取り巻く諸問題を適正に把握しなければならないと考えておられる。そして、消防は待ったなしの結果が全て。「悪い結果は出すな」を信条としている。最後に、自覚・自発・自恃の「三自の精神」で消防業務に取り組むことを力強く語られた。私は来年の救助大会で逗子市の隊員と再会できることを確信している。

(中村昌美)

 

 

 

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