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消防の効率を高める新衛星システム

EUが消防活動に役立ち、将来消防の効率を高める新しい地球規模の人工衛星運行・追跡システムを提案している。

ガリレオ計画と呼ばれるこのシステムは、EUが主要な計画として検討しているもので、EUとヨーロッパ委員会はすでに会員各国に書簡を送って承認を求めている。その目的は、米国とロシアがすでに行っているシステムとは独立したもので、より進んでいるという。各消防局にとって利点の一つは、出動時間(現場に到着するまでに要する時間)を短縮することができる可能性があるということである。

このシステムは、地球と一般車両の移動状況に関する情報を地上の受信者に発信する人工衛星のネットワークをベースとしている。送信されたデータが電子地図にインプットされると、電子地図は関係する郡(又は県)、地区、市町村及び各道路の正確な状況を示す。

消防局は、コンピュータ運行・追跡システムにより災害現場から最寄りの消防署を確認して、現場に到達する最短経路を決定することができる。また、一般車両の移動をモニターして道路の混雑状況を確認したり、その他出動を遅らせる諸要素を把握することができる。

追跡システムを使えば消防車両の現在位置を一〇メートル以内で正確に示すとともに、消防隊が目的地に到着するまでの時間をコンピューターが計算する。電子地図は、消火栓、河川、湖沼等各種の水利までも示すことができる。また、大災害に応援出動した他の消防局と共同作業を行う場合における作業の調整、協力、通信、出動訓練、防災訓練の実施等に役立てることができる。

すでにヨーロッパでは幾つかの国々が出動経路計画、防災計画、車両追跡等に衛星システムを使っているが、これらのシステムは完全に統合されていないので限度がある。また、地上システムは情報を更新するスピードが遅いので限度がある。

このたびの最新式衛星システムの開発には二〇億ポンド(約四、〇〇〇億円)かかる予定である。この計画の資金を調達するためには政府と民間とが共同出資することが必要と思われる。

米国では出動消防車両等の現在位置を把握するための地球上位置確認システムが使われている。各人工衛星に位置確認装置が組み込まれており、毎日二四時間いかなる天候でも地球上の表面一〇〇%に立体的に信号を送っている。

遠隔地域の事故現場に出動した救助隊が車両の位置確認受信器を使って救急ヘリコプターを現場に誘導して救助した遭難者を救急搬送した等数多くの事例がある。また、アリゾナ州フェニックス消防局等多くの消防局で指令室に車両自動追跡装置を設置して出動時間の短縮や現場における各隊の効率的運用に効果を上げている。

(文責・大野春雄)

 

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