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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

調停(一)

 

裁判所では、判決のほかに、調停といった紛争解決の方式もとられる。

今回は、調停について解説する。

 

一、調停

調停は、紛争を裁判所の調停委員会のあっせんにより、話し合いで、適切に解決しようとする制度で、法的根拠は、「民事調停法」にある。そのほかに、家事事件では、家事調停が行われ、この法的根拠は、家事審判法である。

 

二、民事調停法の目的

民事調停法の目的は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする。(民事調停法一条)。

 

三、民事調停事件の種類

民事調停事件は、その性質により、次の事件に分けられる。

1] 民事一般調停事件

一般民事に関する調停事件で、クレジットやサラ金の紛争、不法行為による損害の紛争等多様な事件がある。

2] 宅地建物調停事件

宅地建物の賃借、その他宅地建物の利用関係の紛争に関する調停である(民事調停法二四条)。

地代や家賃の値上げの紛争事件等がある。

3] 農事調停事件

農地又は農業経営に附随する土地、建物の賃借やその他の利用関係の紛争に関する調停である(民事調停法二五条)。

農地の明渡しを求める調停事件等が、この例である。

4] 商事調停事件

商法の適用を受ける事項に関する紛争に関するもの(民事調停法第三節)である。

5] 鉱害調停事件

鉱業法に定める鉱害の賠償の紛争に関する調停事件である(民事調停法三二条)。

6] 交通調停事件

自動車による交通事故の損害賠償の紛争に関する調停事件である(民事調停法三三条の二)。

7] 公害等調停事件

公害、日照、通風等の被害に関する調停事件である(民事調停法三三条の三)。

 

四、民事調停事件の管轄

民事調停事件は、原則として、調停を申し立てる相手となる相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄となる(民事調停法三条)。

そのほかに、当事者が合意した地方裁判所も管轄を有する(民事調停法三条)。

 

全国消防長会

顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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