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管内の地勢は、ほぼ平坦な地域で、西から入間台地が広がり、東に荒川低地を擁した、火山灰土からなる関東ローム層の地質からなっている。

また、当地区は、首都圏三〇kmの地理的条件に恵まれ、昭和三五年ごろから東京のベットタウンとして人口が急増し、昭和六二年に都心から地下鉄乗り入れに伴い、急速な都市化が進んでいる地区である。

ここに紹介する事例は、マンション建設現場で、コンクリート圧送車のスクリューに両下肢を巻き込まれ、救出までに時間を要した事故例である。

 

一 事故発生日時等

(1) 発生日時 平成一〇年一一月三〇日(月)

一八時四六分頃

(2) 発生場所 入間郡大井町亀久保地内

(マンション建設現場)

(3) 気象

天気 曇り

気温 一一・四℃

湿度 六二・五%

風向 北西

風速一・二m/s

(4) 覚知時刻 平成一〇年一一月三〇日(月)

一八時四九分

(5) 現場到着 一八時五四分

(6) 医師要請 一九時四〇分

(7) 医師到着 一九時五四分

(8) 救出完了 二〇時三四分

(9) 負傷者 二四歳の男性一名

多発外傷(重症)

(10) 出場車両及び人員

指揮隊(指揮車)  一台二名

救助隊(救助工作車)  一台五名

消防隊(水槽付消防車)  一台四名

救急隊(高規格救急車)  一台三名

協力者(T病院医師)  一名

 

二 事故発生状況

新築中のマンション建設現場において、圧送作業を終了したコンクリート圧送車のホッパー内を清掃中、誤ってホッパー内に転落、スクリューに巻き込まれた。

 

三 救出活動概要

現場到着時、要救助者がコンクリート圧送車のホッパー内でスクリューを抱き込むような形で、両下肢がシャフトに巻き込まれ、右手はスクリューの羽とホッパーの内壁にそれぞれ挟まれていた。

意識は清明で、足部からの出血は少量であった。

ミキサーの解体方法を関係者に聴取するが不明であったため、専門の技術者を現場へ呼ぶように関係者に指示した。

ホッパー内のシャフトを離脱するため、車両左側軸受け部分の解体と頭部側のシャフトをエアーソーにて切断を試みるが、エアーソーでは長時間に及ぶと判断し、要救助者を毛布で保護しシャフトの熱を確認しながらエンジンカッターで切断する。スプレッダー及びラムシリンダーを使用し、シャフトを徐々に持ち上げたところ、挟まれている右手は開放された。

 

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