火 災
産業廃棄物不法放置火災
中濃消防組合消防本部(岐阜)
はじめに
当消防本部は、岐阜県の中南部に位置し、V字状に広がる形状を示し約五八九km2の広大な面積を擁していますが、山間部であり山林が全体の約八二%を占めています。中央を清流長良川が貫流し、板取川と津保川がこれに合流しており、古くから風光明媚な地として知られています。
組合は関市と美濃市を中心に、武儀郡の洞戸村、板取村、武芸川町、武儀町、上之保村の二市二町三村で構成され約二七、七〇〇人の人口を抱えており、安全な「緑園文化都市圏」を目指しております。
消防体制は、一本部・二署・一分署・五出張所職員一四三人で住民の安全確保に努めています。
ここで紹介する事例は、最近特に問題となっている産業廃棄物の中間処理業者が廃タイヤ、廃プラスチック類を野積みした管理施設から出火した火災で、四六時間余りにわたって延焼を続け鎮火までに約七一時間を要した大規模な火災です。
一 火災の概要
(1) 出火日時 平成九年一一月一九日(水)
一七時一〇分頃
(2) 出火場所 岐阜県美濃市曽代字下向畑
(有)T組
(3) 覚知時間 平成九年一一月一九日(水)
一七時三一分
(4) 鎮圧時間 平成九年一一月二一日(金)
一六時〇〇分
(5) 鎮火時間 平成九年一一月二二日(土)
一六時三〇分
(6) 気象状況 天候晴れ 気温八・一度
湿度七〇・五% 風向南
風速一・〇メートル
(7) 損害状況 焼損面積五、〇四八m2(うち山林焼損面積三、一四八m2)
損害額 九六二、〇〇〇円
(8) 死傷者等 なし
(9) 出動車両及び人員 車両一二八台 人員九七一人
二 出火場所の概要
現場は美濃市中心部から北東へ直線で約一・五kmに位置し、美濃市台山運動公園から山すそに沿って市道を一・三km北に入ったところがらさらに林道二〇〇mほど入った山すそである。
林道の終点まで産業廃棄物が野積みされた処理施設は、西側から進入路を除いて急斜面の山林に囲まれ、一般的な防御活動体制の確立が困難な地形である。
水利は、現場から九〇〇m隔てた消火栓一基のほか長良川から取水する曽代用水までは七〇〇mあって、十分な水利体制を確保するまでは困難を極める地域である。
三 活動概要
現場付近の住民による一一九番通報を受信した指令課は、所轄の美濃消防署が東海北陸自動車道で発生した救急救助災害に出動中であったため、隣接する関消防署に第一次出動を指令し、ポンプ車二台、工作車一台が出動すると同時に、ほぼ救急救助災害の処理を完了していた美濃消防署各隊も関消防署と同じくしてポンプ車乗り換えのうえ現場へ出動すると同時に、美濃市消防団に出動要請がなされた。
付近には水利が無いため、消火栓からポンプ車による遠距離中継送水により四口にて消火活動を実施した。
後着の消防団も、用水からポンプ車、小型動力ポンプを使用し遠距離中継送水により二口の消火活動を実施した。