日本財団 図書館


救急ヘリの運用を開始

―川崎市消防局―

 

川崎市消防局は、昭和二三年三月、自治体消防として発足以来、火災やその他の災害から川崎市民の生命、身体、財産を守るため、日夜、防災の任務にあたってきました。現在市内には、八消防署と三一消防出張所があり、消防局長以下一、三八七人の職員と、消防車両一七台、救急車二五台、消防艇三艇、ヘリコプター二機などを保有し、災害に備え、万全の体制を整えています。

 

一 は じ め に

近年、救急需要の増加に加え、慢性的な交通渋滞等により救急車の運行に時間を要し、特に重傷患者を遠方の病院に搬送する場合、その傾向は顕著であります。このような場合に備え、ヘリコプターの活用について検討しておりましたが、受入れ病院の問題、臨時離着陸場の問題、救急ヘリ装備資器材の問題など懸案が解決いたしましたので、次の要領で救急ヘリの運用を、消防記念日であります平成一一年三月七日から開始したものであります。

 

二 救急ヘリの装備

(1) ロールイン・ストレッチャーの整備

ロールイン・ストレッチャーは救急車と同様のものをヘリコプターに積載できる装備としました。したがいまして、救急車からヘリコプターにそのまま載せ替えできますので、患者への負担が軽減されます。

(2) 救急資器材

救急資器材につきましては、患者の症状に応じて必要な資器材をその都度、救急車から載せ替えて対応します。

(3) 病院等との通信手段

ヘリコプターの中では、携帯電話の使用が禁止されていますので、当面消防無線により救急車を介して病院等と連絡することといたしておりますが、将来的には航空電話の導入を検討しております。

 

007-1.gif

ロールインストレッチャー

 

三 収容病院及び収容方法

(1) 市内病院

ア 聖マリアンナ医科大学病院救命救急センター

約六〇〇m離れたフコク生命グラウンドをヘリポートとし、病院との間は、同病院救命救急センターのドクターカーがグラウンドまで患者を収容に出場します。

イ 市立川崎病院

屋上ヘリポートを使用します。屋上ヘリポートからは患者搬送用エレベーターで搬送します。

(2) 市外病院

ア 北里大学病院救命救急センター(相模原市)

病院内グラウンドをヘリポートとし、グラウンドまで同病院救命救急センターのドクターカーが患者を収容に出場します。

イ 東海大学医学部付属病院救命救急センター(伊勢原市)

病院内グラウンドをヘリポートとし、グラウンドまで同病院救命救急センターのドクターカーが患者を収容に出場します。

 

四 臨時離着陸場

救急ヘリ運用のため、民間の協力も得て市内二九箇所を指定しました。

 

五 救急ヘリの運用システム

(1) 出場基準

重度熱傷、多発性外傷及び重度外傷、四肢の切断、脳疾患(重症)、心疾患(重症)、その他これらに準ずる重症疾患並びに消防長が必要と認めるものに出場します。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION