四 災害救助犬の活動と救助隊との連携
この災害救助犬はどの様な働きをするのでしょうか、彼ら(災害救助犬)の持つ特異な能力、人間の数万倍と言われる嗅覚を活用するのです。匂いは上へ上へと昇り、後は風により周囲へ広がって行きます。地震等によって崩壊した家屋の中でタンスや壁の隙間等に閉じ込められた被災者の匂いは、隙間を伝って上に昇り風下へと流れていきます、その匂いを彼らはキャッチして一番強い匂が上がってくる隙間を指導手に吠えたり足でその場所を引っかいたりして知らせるのです。
指導手は犬の様子を見ながら、待機していたレスキュー隊に崩壊家屋のこの下辺りに被災者が居ますと連絡をするか、あるいは目印を着け後はレスキュー隊にお任せをして次の崩壊家屋へと捜索の場所を移していきます。
五 災害救助犬の出動実績
最後に災害救助犬の出動実績の概要をお話し致します。
(1) 阪神淡路大震災
平成七年一月一七日未明に発生したこの大震災に災害救助犬八頭、四訓練所、一二名の指導手が出動し捜索活動を行いました。
(2) 鹿児島県出水市針原地区土石流災害
平成九年七月一〇日に発生した大雨による土石流災害に、災害救助犬六頭、二訓練所、関係者八名が出動し、行方不明になっていた一二歳と四歳の女児の捜索を行いました。
(3) 福島県西郷村「太陽の国カラマツ荘」土砂崩れ災害
平成一〇年八月二七日に発生した大雨による土砂崩れ災害に、災害救助犬四頭、二訓練所、関係者五名が出動しました。途中道路が大雨の為寸断され遠回りなどしながら現地にたどり着きました。対策本部の要請により他の連絡の取れない被災家屋について調査中とのことで、調査終了まで待機しました。
(4) 台湾大地震
平成一一年九月二一日早朝に発生した台北大地震に、災害救助犬五頭、四訓練所、関係者八名が当日夕刻現地に出発しました。
海外に派遣するのは初めての事ではありましたが、現地では日本国際緊急救助隊に所属し、救助隊の指揮の下に捜索活動を行いました。