日本財団 図書館


019-1.gif

 

大洲(おおず)地区広域消防事務組合消防本部(愛媛)

 

019-2.gif

 

当本部は、四国愛媛の大洲市、長浜町、内子町、五十崎町、肱川町、河辺村の一市四町一村で構成されている。本部のある大洲市は伊予の小京都と呼ばれており、大洲城跡や臥龍山荘、赤煉瓦館など古き良き日本の面影をとどめている。また、市内を流れる肱川では、六月から九月の間、全国で唯一川下りをしながら鵜飼を楽しむことができる。他の構成町村も、我が国最古の道路可動橋のある長浜町、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている白壁の町・内子町、大凧合戦で有名な五十崎町、風の博物館など自然エネルギーの町として知られる肱川町、坂本龍馬脱藩の道のある河辺村などバラエティーに富んでいる。来年には、四国縦貫自動車道伊予〜大洲間が開通予定で、今後ますますの発展が期待されている。当本部は昭和五〇年四月組合消防として発足し、現在の消防力は、一本部・一署・三支署、森克己消防長以下九〇名の職員と二、三〇〇人の団員で構成されている。

 

019-3.gif

 

★ 過去の大災害

当本部で災害といえば、水害があげられる。管内を流れる肱川は幹川流路延長一〇三?q、流域面積一、二一〇?q2の一級河川で、流域に様々な恩恵をもたらしている。しかし、大雨が降ると支川が大洲盆地部やその上流で合流し、狭陥な山間を貫って河口へ至るため、大洲盆地等には、毎年のように洪水による災害が発生している。特に平成七年七月に発生した洪水では、家屋や事業所など九三〇戸が浸水し道路も寸断された。現地では対策本部を設置し、消防職員や消防団員らが孤立者の救出を行った。現在、河川整備が行われており、当本部でも水防資器材の整備充実など水害対策に取り組んでいる。

★ 消防団との連携

当本部管内の消防団はそれぞれ古い歴史を持っており、現在も重要な役割を担っている。火災では、救急出場と重なると職員不足により消防団員が主力となって消火を行うこともある。このような状況から当本部では常日頃から消防団との連携活動の強化に努めている。団事務も署所で行っており、団活性化対策のための諸施策を進めている。本部のこうした努力もあり、消防団との関係は良好だ。また、当消防団では、大洲喜多消防団連合会の強力なバックアップもあり、団員育成訓練、署合同訓練などを行い実災害に備えている。郷土を守る団員の士気、使命感は旺盛で、県ポンプ操法大会等で幾度となく優秀な成績を収めており、住民からも高い信任を受けている。

★ 職員自ら企画し執行する

森消防長の重点施策の一つに職員の資質の向上が上げられている。森消防長は特に職員個々の企画能力の育成に意を注いでいる。その方策の一つとして、各所属ごとの事業計画と予算書の作成及び予算の執行などを職員に実践させ効果を上げている。職員の意識も変わり、思いもよらない事業が展開されるようになった。

最近では、マスコットキャラクターの公募作成や小学校四年生の課外授業を職員が行うなど新たな事業が展開されている。また、森消防長は、住民に消防が何をしているか知ってもらうことも大切だとして、消防広報の充実にも力を入れている。

★ 住民が何を望んでいるのか

森消防長は今後の消防行政等について、「消防が消火・救急をするのは当たり前、プラスアルファが必要だ。住民が何を望んでいるのか考え、問題意識を持って事にあたってほしい。広い視野で何事にも前向きに取り組んでほしい。職員は能力を最大限に発揮し、小規模消防に必要なオールマイティな人材になってほしい。」と語ってくれた。

(大橋実)

 

組合消防マスコットマーク

“りゅうじんくん”

019-4.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION