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須坂市消防本部(長野)

 

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当消防本部は昭和三七年四月一日職員一七名をもって発足し、昭和六三年四月には、隣接の小布施町・高山村から消防の事務委託を受け、広域消防が発足した。管内面積は二六七・四km2、現在一本部、一署二分署八九名の職員と一、三五四名の消防団員により七四、〇〇〇余人市町村民の安全確保の一翼を担っている。消防本部発足時から三部制を実施し、平成一三年四月からは、職員の増員に合わせて、高山分署でも救急車の運用が予定されている。

本市は、千曲川の流れや北アルプス・北信五岳の眺望に恵まれた風光明媚な地域であり、峰の原高原、五味池破風高原のツツジ、米子大瀑布などの自然資源のほか、ニホンカモシカ、イヌワシといった貴重な動物が生息する豊かな自然に恵まれている。積雪もそれほど多くなく大きな災害も少ない。郊外は県下一の果樹地帯でぶどうの王様「巨峰」やりんごの「ふじ」は全国的にも有名。明治から昭和にかけて製糸の町として発展し、「蔵づくり」の町並みが形成され今も残されている。

★ 山林火災防ぎょ訓練の実施

当市の森林面積は一〇二km2で市域面積の約七〇%を占めている。山林火災の出火原因は入山者によるたばこや焚き火の不始末であることから山菜取りや行楽シーズンの入山する時期を見計らい、昭和四六年から山林火災防止を主眼とした須坂市独自の「春の特別火災予防運動」を実施している。この運動の期間中山林内で消防署・消防団・地域の住民で民間から譲り受けた動力噴霧器等を活用(写真)し合同訓練を行うとともに、日常的にも、チラシの配布や防災行政無線により、山林火災防止を呼びかけている。また、春先はタケノコ狩りのシーズンにも当たり、広範囲にわたる竹笹の中での遭難の注意も呼びかけている。

★ 土石流災害の教訓

昭和五六年八月二三日早朝、市内の東南に位置する仁礼地区に土石流災害が発生し、一瞬にして一〇人もの尊い命を奪いさる大惨事となった。これは雨台風により同地区の上流に二一七ミリもの記録的な集中豪雨によるもので、市内全域に住宅・橋梁の全壊、流失などの被害が発生し、消防職員、消防団員は直ちに全員出動し、不眠不休の救出、救助活動を行った。この災害を教訓として八月二三日を「須坂市民防災の日」と定め、全市民が一丸となって同日に防災訓練を実施してきた。一昨年からは九月一日の防災の日に合わせ、人工呼吸の仕方や応急救護の講習等を行い、住民の要望に応えている。

★ 職員の研修

毎月、テーマを掲げ皆で意見を出し合い職員研修会を実施している。これは職員に常に問題意識を持たせ、消防の原点を確認するための場として実施しており、また、福祉関係や自衛隊等それぞれの担当者に依頼し、高齢者の実情や自衛隊の災害活動要領等について研究会を実施している。今後予想される市長部局との人事交流や職場のOA化を積極的に勧め、一段と職員のレベルアップが図られ、今後の活躍が期待されている。

★ オールマイティー職員の育成を

最後に宮川消防長は、「私は今年四月一日に消防長になった一年生であり、消防行政について懸命に勉強中です。少数精鋭の中でオールマイティーな職員の育成を目標に、和を大切に常に問題意識を持って事に当たり、広い視野と人とのつながりを大切にしてほしいと望んでおります。組織は人、そして人の和を大切にするすばらしい職員、職場に恵まれて幸せです。更に職員間の意思疎通に気を配り、何でもいいから意見を出し合い、明るい職場づくりに努め、チームワークの強化や市民サービスの向上に努めたい。」とさわやかに結ばれた。

(飯塚文治)

 

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