ワンポイント
消防職員のための法令解説
裁判所(二)
五 家庭裁判所
家庭裁判所は、主として、家事事件の審判や調停、少年法で定める少年の保護事件の審判や、未成年者喫煙禁止法の罪等に関する少年法三七条に掲げる成人の事件等の裁判をする権限を有する下級裁判所である(裁判所法三一条の三)。
家庭裁判所の審判又は裁判は、裁判所以外の法律で裁判官の合議体で取り扱うべきものと定められたとき以外は、一人の裁判官で行う(裁判所法三一条の四)。
家庭裁判所は、現在、地方裁判所と同様、全国で五〇箇所ある。
六 簡易裁判所
簡易裁判所は、最下級の下級裁判所である(裁判所法二条)。
簡易裁判所は、1]訴額が九〇万円までの民事訴訟(行政事件訴訟に係る請求は除く)、2]罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪、その他常習賭博罪、窃盗罪、横領罪、盗品譲受罪等の一定の罪に関する刑事事件(この場合、原則として、禁錮以上の刑を科すことができない。)の第一審裁判所である(裁判所法三三条)。
そのほか、簡易裁判所は、民事訴訟法で定める督促手続等、特に法律で定められた権限を行う。
督促手続というのは、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求に対してなされる(民事訴訟法−以下「民訴」という−三八二条)。貸金の取立てによく利用される。
これは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所等の簡易裁判所書記官に対して支払督促の申立てをする(民訴三八三条)。
支払督促には、一定額の給付を命ずる旨等を記載して行い、債務者に送達する(民訴三八八条)。
債務者が支払督促の送達を受けたときから、二週間以内に異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、仮執行の宣言をする(民訴三九一条)。仮執行の宣言を付した支払命令の送達後異議がなく、二週間経過すると、支払督促は、確定判決と同一の効力を生じる(民訴三九六条)。
全国消防長会
顧問弁護士 木下健治