大竹市消防本部は広島県西部の山口県境に位置し、北は佐伯町・大野町、東は瀬戸内海、南・西は山口県岩国市・美和町等に接し、広島県の西の玄関として重要な地位を占めている。
また、北西部に連なる三倉岳等の山々が海岸線近くまで迫り、瀬戸内海に浮かぶ島々が夕日に映え、自然豊かで風光明媚な“まち”である。
古代の同市域は、遠管郷(おかのさと)と呼ばれ、古くから交通上重要な役割を担っていたが、昭和二九年の市制施行後、石油化学等の大企業が進出し、山口県和木・岩国地区と連携した、日本初の臨海工業地区として発展している。
そして、「憧れのハワイ航路」、「矢切りの渡し」など、数多くのヒット作品を生み出した作詞家“石本美由起”生誕の地として、さらに、「かき」、「ハマチ」の養殖地として有名である。
消防本部発足は、昭和二五年三月で、現在一本部・一署、五二人の職員と、三四二人の消防団員が、日夜、約七八km2に居住する三万二千余の安全を担っている。
★モダンな消防庁舎 !
広域的な機能を備え、大地震でも耐えうる“防災活動拠点”としての近代的な消防庁舎が、平成八年三月に完成している。
新庁舎は、新たな耐震構造で建築され、複雑多様化する災害や高齢化社会に伴う災害弱者の安全対策などに対処するため、コンピュータを駆使した消防緊急通信指令システムが導入されている。
また、訓練塔や多目的ホールを併設し、消防職員・団員の活動技術等の向上が図れるようになっているほか、市民も体験できる避難器具等も設置され、“安全で人にやさしいまちづくり”の実現に一役買っている。
★確かなネットワーク !
災害発生時に迅速な情報収集・伝達を行うため、市役所、警察、消防、ダム、学校、病院、輸送機関等を相互に結んだ「大竹市地域防災無線システム」を、平成一〇年四月から運用開始している。
また、市内各所の無線設備に屋外拡声放送装置を接続しているため、津波や大規模災害時におけるサイレンの吹鳴及び避難勧告等の重要情報が、災害対策本部並びに消防本部から速やかに行えるため、市民の安心感と、被害軽減に役立つことが期待されている。
★頼りになる消防団 !
管内には山間部、海及び離島のほか、石油コンビナート等特別防災区域を有していることから、消防団・同区域内の企業との連携を強化している。
特に、内陸部には飛び地が、海上には離島が点在していることから、災害・救急事故発生時には、現地消防団の活動に委ねざるを得ない状況である。
このため、平素から連絡を密にし、消防団のみでも対応ができるよう、教育・訓練を積極的に行い、活動能力の向上に努めている。
★良好な人間関係を !
讃井消防長は「よい仕事をするためには、まず人間関係を大切にすることが必要である。
そのためには、相手の立場に立ちながら思いやりの心をもち、市民等に真心をもって接して欲しい。直ぐに結果はでないが、必ず良い結果がでる。
また、組織の一員として有言実行し、他人が評価したとき、自分で納得できるような努力をして欲しい。そして“市民に愛され、信頼される消防”にしなければならない。」と述べられた。
(野崎俊幸)