鷹巣阿仁、「たかのすあに」、珍しい消防本部名である。秋田県の北部の中央に位置し、周囲を山に囲まれ青森県に接する、広大な自然を有する消防本部である。
語感からして印象を残す本部名で、鷹巣町、森吉町、阿仁町、合川町、上小阿仁村の四町一村で構成する組合消防である。
本部所在地の鷹巣町は、ギネスで世界一の認定を受けた「綴子(つづれこ)の大太鼓」が有名で、七百年の歴史を今に伝えている。
また、平成一〇年七月には、秋田県第二の空港として「あきた北空港(大館能代空港)」が開港し、東京、大阪、札幌の各便が就航し、さまざまな波及効果が期待される。
消防本部発足は昭和四七年五月一日で、現在一本部・一署・四分署、消防職員九四人と五団・四二分団一、〇九二人の消防団員とともに管内一、四〇九km2に居住する四七、三九五人の防火防災を担っている。
★福祉の町として
急速に高齢化が進む(平成一〇年四月現在、六五歳以上の住民の割合・二九・二パーセント)管内では、二一世紀に向けた高齢化社会への対応として、消防職員の救急隊員としての資格の取得と救急救命士の育成及び高規格救急車の配備等を積極的に進めている。
現在、救急隊員としての資格取得者は職員のほぼ全員で、うち、救急救命士は三人であり、来年の四月には最新鋭の高規格救急車が運用予定である。
また、救命率の向上を目指すために、救命講習を積極的に実施している。現在、普通救命講習は、二、二〇〇人(平成一一年八月現在)が受講している。その講習会を受講した教師の長岐純一さん(鷹巣町)は、生徒たちと一緒に覚えた人工呼吸で孫娘を救うことができた。
秋田県北部は、冬期、豪雪地帯として有名な場所で、一人暮らし老人・身体の不自由な方に対して、安心して住みやすい地域づくりを目指して、「雪かきのサービス」等を実施している。また、「ふれあい安心電話(緊急通報装置)」の導入を行い、現在、五四九世帯と普及している。災害弱者にたいする当本部の施策は、住民からも歓迎され、住民とのコミュニケーションを大切にする、社会福祉のまちづくりを目指している。
★空港消防として
平成一〇年七月、あきた北空港(大館能代空港)が開港し、空港消防と消防本部の合同訓練を年に二回実施している。
いざ事故が発生すれば先着となる当本部は、さまざまな事故に対応できる高度な技術、知識をもつ職員の育成、また、近代装備や訓練にも力をいれ、消防力の強化を目指している。
★ユニークな火災予防運動
当消防本部では、火災予防運動には、ユニークな行事を実施している。「火の用心」ののぼりを持ち、職員の体力練成をかねた管内駅伝を行い、火災予防を訴えている。住民の声援をうけ、コミュニティにあふれた、地域一体の火災予防を進めている。