町田市においては、多様で統計的にまとめにくいが、請求状況の一覧表から文書を性質別に概観すると、つぎの内容が請求対象になっている。
入札・契約関係文書、委託契約書、建築確認申請書、閲覧申請書、事務事業費算定基準、用地購入関係資料、交際費関係文書、支出伝票、始末書・顛末書、会議録、報告書
このことから情報公開は、事務のすべての過程に及んでいることがわかる。
2 請求に対する決定の状況
請求に対する決定の状況は、表2のとおりとなっている。
注1 一部公開としたものを含む
注2 請求1件に複数の理由が該当するものがあるため、合計は表2と一致しない。
港区、町田市とも、理由の多い順に、個人情報、行政執行情報、法人情報となっている。これは情報公開制度における一般的傾向と、みることができるであろう。
非公開となった各区市の三件づつの案件は、つぎのとおりである。末尾の括弧書きは非公開の該当理由である。
港区の場合
1] 某地の建築指導経過及び許可基準(第五四号)の適否がわかる文書(個人情報)
2] 食糧費等調査結果報告書に係る調査資料等の一切の文書(行政執行情報)
3] 区議会請願第五四号署名者の住所・氏名(個人情報)
町田市の場合
1] 「○○小学校」における教員暴力(体罰)事件について都教委へ提出した次の報告書
・「教員の服務について」に係る訂正報告
・「校長の管理・監督について」に係る訂正報告(個人情報・行政執行情報)
2] 第十八回参議院通常選挙立会人(町田市役所森野分庁舎2階不在投票所)○○の自宅と電話番号(個人情報)
3] 一九八九年度第十二回定例教育委員会秘密会会議録のうち「外形的事実」を除く部分(法令秘情報)
以上、全部非公開の決定の案件についてみた。しかし、非公開となる情報は、公開の対象となる情報と混在していることが多いのが実情である。その結果、一部公開すなわち一部非公開と決定されるものが、全部非公開となるものより多く、その件数は約一〇倍に及んでいる。この点にも、留意しておきたいものである。
五 情報公開における最近の判例から
情報を公開するか非公開にするかの判断にあたり、重要な指針となるものに判例がある。これは、請求者が行政事件訴訟法により、裁判所に処分の取消しを訴えたその判決結果である。
つぎに、消防行政にも関係があると思われる判例をみることとしたい。(注九)
1 食積費の支出にともなう懇談相手の公開浦和地裁判決(一九九七年二月被告埼玉県)
「埼玉県に食糧費の情報公開を求めた市民団体代表が、懇談会の相手先や懇談場所などが非公開になったことを不服として、県に全面公開を求めた訴訟で、浦和地裁は、原告の請求を認め、相手先と懇談場所について県の非公開決定の取消しを命じた。」