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この場合、請求のねらいや理由は公開の可否を決定する要因ではない。公開の可否の決定は、文書の内容や公開による影響を条例等にもとづき、判断されるものである。

請求に対する公開可否の決定は、迅速に行うことが求められている。通常、条例で受理の翌日から起算して一四日以内と制限を設けている。また、やむを得ない理由で期限内に決定できない場合は、請求者に速やかに、延期の理由と時期を通知することとしている。

 

2 公開の場合の手続

請求に対して公開を決定した場合は、文書により公開決定の旨を請求者に通知する。その場合、文書の件名、公開の日時、場所、更に、一部非公開とする部分があればその特定と理由等を明記する。

なお、一部非公開がある場合は、該当部分について非公開の場合の手続によって、不服申立て等がなされることとなる。

文書の公開にあたっては、原本によることを原則としている。しかし、原本によることが困難と認められる場合は、その複写による閲覧、または、その写しを交付することができる。

原本によらないことが認められる場合は、おおむね、次のようなケースである。汚染や破損のおそれがある場合、日常業務に著しい支障が生じる場合、一部非公開部分があり、原本によりがたい場合などである。

 

3 非公開の場合の手続

請求に対して非公開と決定した場合は、文書に公開しない理由を明記して、その旨通知する。公開しないとした場合でも、一定期間の経過後公開できる場合は、その期日を併せて通知する。

情報公開を請求したものが、非公開とされた処分に不服がある場合は、つぎの二つの法的救済手段を受けることができる。

一つは、行政不服審査法により、処分を決定した実施機関に不服申立てをすることである。他の一つは、行政事件訴訟法により、裁判所に対して処分の取消しの訴えをすることである。

いずれの方法をとるかは、任意である。しかし、通常は、簡便・迅速な救済等をねらいとして、前者の不服申立てが先行して行われる。その後、その決定が不満足の場合、後者の訴えが行われるのが一般的である。

行政不服審査法による不服申立てに対しては、条例により諮問機関として学識経験者からなる情報公開審査会を設け、そこへ諮問し、その答申を尊重して処分を決定することになっている。ただし、その答申は、法的拘束力がなく、そのため例外として、実施機関はその内容と異なる決定を行う場合もある。

 

四 情報公開制度の運用状況について

 

情報公開制度の運用状況は、地域特性が反映し多様である。そこで地域特性が対称的に異なる都心部である東京都港区と、ベットタウンの様相が強い東京都町田市を例にみていくこととしたい。(注八)

 

1 公開請求の状況

請求者の区分別件数は、表1のとおりとなっている。なお、両団体とも、「何人も請求者となれる」制度をとっている。

 

表1 請求者の区分別件数

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注 東京都港区は平成9年度分、同町田市は平成10年度分である。

 

 

注目されるのは、港区では、区外からの請求が多く、区外在住者(五六件)・区外法人等(二一九件)の合計は二七五件で、請求件数全体の六五・〇%を占めている。一方、町田市では、同様な合計は一八件であり、三二・一%と少ない。

また、港区では、在住者より法人等からの請求が多く、区内外の法人等の合計は三二四件で七六・六%に及んでいる。町田市では、二一件で三七・五%と少ない。

これからみると公開請求は、地域特性が大きく影響するものと推察される。

請求の内容別を、それぞれの報告書からみると、港区で最も多いのが建築標識設置届で三三〇件で七八・〇%、次いで食品衛生法に基づく営業許可台帳二五件で五・九%となっている。

 

 

 

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