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この場合、担当職員が職務上作成した資料はどうかが問題になる。国の情報公開法での考え方は、「組織において業務上必要なものとして利用・保存されている状態のもの」かどうかで、判断されるとしている。

したがって、職員が自分の仕事に便利なように作成した正式文書のコピーや、個人的検討段階の資料は含まないとしている。この考え方は、今後の地方公共団体における運営において、一つの指針となろう。(注七)

 

(3) 情報内容による相違

情報公開制度は、請求のあった場合は、公開するのを原則としている。しかし、基本的人権の侵害や、公正な行政の執行に支障をきたすおそれのある等の情報は、例外原則をもうけ、非公開とすることができるとしている。

この場合、条例により例外の制限列挙主義をとっている。地方公共団体によって表現上の若干の差異は認められるものの、おおむね、つぎのものは非公開としている。

1] 個人情報―個人の情報であって、特定の個人が識別され、または、識別されうるもの。

2] 法人情報―企業など法人の事業活動に関する情報で公開することにより、それらの法人等にあきらかに不利益を与えると認められるもの。

3] 行政執行情報―公開することにより行政執行の公正・適正な実施を著しく困難にすると認められるもの。

4] 安全維持情報―施設の防犯に関する情報など、安全維持に著しい支障が認められるもの。

5] 法令秘情報―法令により明らかに公開ができない情報。

ここで特に留意すべき点は、情報公開についての請求者との争いは、ほとんどがこの例外の適用の是非についてである。この場合の法的救済手続は、つぎの項で述べる。

 

3 公務員の守秘義務との関係

情報公開制度における原則公開の義務と、公務員法上の守秘義務との関係は、どのように考えていけばよいか。

もともと守秘義務は、服務規律である。具体的には「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。」とするものである。情報公開制度において、行政機関として情報公開された情報については、すでに秘密ではありえない。したがって、情報公開制度と公務員の守秘義務とは矛盾するものではなく、情報公開制度は、秘密を漏らす行為に該当しないと解され運営されている。

このことは、公務員の立場からみると、逆に、守秘義務の範囲が明確となり、適正な服務の運用が確立される効用があるといえよう。

 

三 情報公開請求に関する事務の流れについて(注一一)

 

情報公開制度の運営上の流れは、条例にもとづいて行われる。その概要は、図2のとおりである。以下は、図に従った説明である。

 

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図2 情報公開請求に関する事務の流れ

 

1 請求手続

情報公開の請求をしようとする場合、文書による手続により行うこととしている。これは、請求の事実内容を明らかにするためであり、所定の公開請求書にて行うこととしている。その際、公開請求をする文書の件名は必要ではなく、請求する文書が特定できるような記載事項があればよいこととしている。

通常、請求の窓口は、情報公開制度の適正・円滑な運用を図ることと、該当文書やその管理主管部門が必ずしも明確でないこともあり、情報公開の総合窓口を設け、そこで受付けることとしている。

 

 

 

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