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長岡京市消防本部(京都)

 

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幻の都。長岡京はかつて日本の首都として、現在の長岡京市、向日市、大山崎町及び京都市の一部を含む大都市として繁栄した。しかし、都は一〇年で遷都され、歴史の舞台から姿を消す。遷都の理由は未だはっきりしていない。まさに幻の都である。

現在の長岡京市は大阪・京都の中間に位置し、住宅、商業、農業、工業とバランス良く発展している。名所旧跡も多く、学問の神様として有名な菅原道真公をまつった長岡天満宮や西山浄土宗総本山の光明寺などがある。長岡天満宮の春のきりしまつつじと光明寺の秋の紅葉は特に有名である。

また、この地は明智光秀の娘「玉」のちの細川ガラシャが、嫁入りした地でもある。平成四年、玉が嫁入りした勝龍寺城が公園として整備されたのをきっかけに市民主体のイベントとして「長岡京ガラシャ祭り」が開催されている。一一月の第二日曜日、玉の輿入れ行列が再現される。消防本部でも、パレードの警戒や露天の指導等で協力している。

長岡京市消防本部は、一本部・一署・一分署・職員八〇名、一団・五分団・団員一五〇名の体制で業務を行っている。平成一〇年中の災害状況は、火災二七件、救助二〇件、救急一、七一八件で、最近は、天ぷら油火災が増えてきたとのことである。通報、初期消火の遅れから被害が拡大する傾向があり、当本部では出火防止の広報等に力を入れている。

★クリーンファイヤー大作戦 !

平成六年頃、管内では放置されたゴミに放火される火災が増加した。本部では、放火防止対策を検討していたが、放置されたゴミの場所の問題やゴミ撤去の問題等、消防では対処できない問題が多数あった。そこで、消防が音頭をとり、他の部局とも連携したクリーンファイヤー大作戦を展開した。これは、関係各課で対策を協議し、ゴミが放置された場所の調査や放置されたゴミの撤去を協力して行うもの。この試みは現在も継続し、年四回実施している。市民からも町が綺麗になったと好評だ。だんだんと放火防止という観点からずれてきているが、縦割りといわれる行政の中で一定の評価を得ることに成功した。

★地域一体となった防火管理体制の確立

管内の事業所では、防火管理業務に従事する者の相互連携と知識・技術の研修、自主防火管理の充実等を目的に「長岡京市防火管理連絡協議会」を設置している。この協議会には管内の主だった事業所が参加し、様々な防火防災に関する行事を行っている。中でも一番力を入れているのが消火技術競技会である。これは管内の各事業所が参加して消火器操法競技と屋内消火栓操法競技を行い順位を競うもの。競技会では、迅速適正な取扱いと規律の適正さを重点に消防署員が審査を行い、優秀な成績を納めたチームを表彰している。この行事のお陰で、参加者は消火器や消火栓の操作や取扱いをよく覚えてくれる。また、事業所と消防が協力して行うことにより、相互の理解が深められている。

★二一世紀の消防を目指して

中垣消防長は今後の方針等について、「現在、消防を取り巻く環境は、財政難や住民ニーズの多様化、高齢化社会の到来等様々な問題を抱えている。管内でも府内初の超高層共同住宅の計画が進んでいる。当本部では、現在、二一世紀の消防を目指し、経験、実績を踏まえ、広域化も視野に入れた体制の充実強化に取り組んでいる。広域化に関しては、平成六年から話し合いを行い、今年度は細部にわたる検討、調整を行っている。解決しなければならない課題は多いがひとつずつ取り組んでいきたい」と語られた。

(大橋実)

 

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