日本財団 図書館


018-1.gif

 

留萌消防組合消防本部(北海道)

 

018-2.gif

 

留萌消防組合は、北海道西北部に位置し、日本海に面する留萌市と小平町の一市一町で構成されている。

豊かな自然に恵まれた当地方は西には日本海、南北に暑寒別天売焼尻国定公園が連なり、暑寒別山系をはじめ遠く天売・焼尻の島が望まれる。

消防本部所在地の留萌市は、正月料理に欠かせないカズノコ生産量日本一を誇る水産加工を基幹産業とし、さらに国の重要港湾を核として発展しつつあり、三年後の平成一四年からは本州との間にフェリーの就航が予定されている。一方当地方は、明治、大正から昭和の中期にかけて鰊の千石場所といわれ、前浜は鰊の群来(くき)とともに大漁を追う多くのヤン衆が生活しており、その当時を偲ぶ旧花田家番屋(明治三五年頃創立と推定)は国の重要文化財に指定され、「道の駅」として多くの観光客で賑わっている。また、今春からは、NHK連続テレビ小説「すずらん」のロケ地として撮影収録が行われたことから、ドラマの『明日萌駅』に隣接する留萌市と深川市(留萌本線)との間でSLすずらん号が運行されており、懐かしい汽笛が響いている光景を見ることができた。

当本部は、昭和四九年に広域化され発足、一本部一署二支署七一人の職員と二団一八分団三三〇人の団員とともに管内面積約九二四?q2、人口三三、七六八人の市・町民の安全で安心して暮らせる町づくりに取り組んでいる。

【住民・防火団体との連携】

広い管轄区域を有し限られた職員で住民の負託に応えるためには消防職・団員が一体となることはもとより、住民組織との連携が最も不可欠であることから管内主要企業(事業所)が核となり消防後援会が組織され、消防行政への理解と物心両面からの支援を受けるなど官民一体で防災に取り組んでおり、防災意識の高揚と自衛消防組織の活性化に効果を上げている。

【救急業務の高度化推進】

こうした中、年々複雑多様化する各種災害に対応するため、平成六年度からスタートした高度化計画に基づき、救急救命士の養成や高規格救急車の導入を図り救急高度化及び、隊員の生涯教育等について積極的に取り組んでいる。

平成六年に二名の救急救命士が誕生以来、七年には高規格救急車を導入し、公立の医療機関での生涯教育も計画実施されており、現在八名の救命士が日夜活動し、救命率や社会復帰率の向上に成果を上げており今秋には更に一名の救急救命士が誕生する予定である。

応急手当の普及についても積極的に進め当面の目標である全人口の二〇%達成を目指し『救える命〜救いたい!』をモットーに普及啓発につとめている。

【多彩な広報活動】

当消防本部では多彩な広報活動を展開しており当地の夏の最大イベントである『あんどん祭』には防火を呼びかける巨大あんどんを製作して参加、又、消防広報誌『纏』を年六回発行し管内全戸に配布すると共に、オリジナルポスター・消防カレンダーの製作に取り組み、平成一〇年第一回全国消防広報コンクールでは消防庁長官表彰を受賞するなど住民に対する防火意識の浸透に大いに役立ち、年々火災件数も減少傾向にある。これは住民一人一人防火に対する意識が非常に高いことと、消防の地道な予防・広報活動の成果だと感じる。

 

018-3.gif

 

【組織の活性化をめざして】

西谷消防長は、日頃職員に「消防職員としての自覚を持ち、様々な業務が遂行できるオールマイティーな職員」になってほしいと呼びかけている。平成一四年には本州との間にフェリーの就航も予定されており、これから観光客等の増加による消防需要の拡大が予想される中、それに対応する留萌消防組合のまとまりは、消防長を中心とした揺るぎない万全のものと確信した。

(中村一美)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION