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ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

地方分権推進計画(一〇)

 

一九 都道府県と市町村の新しい関係

都道府県と市町村は、対等協力の関係であることを前提とし、市町村は、基礎的地方公共団体として、次の都道府県が処理することとされているものを除き、一般的に普通地方公共団体の事務を処理するものと、地方分権推進計画は、定めている。

そして、都道府県は、ア、広域にわたるもの、イ、一般の市町村を超える規模及び能力が必要とされるもの(これについては、市町村が規模及び能力において処理することができる)、ウ、市町村に関する連絡調整に関するものを処理する。

市町村に対する都道府県の関与は、法律又はこれに基づく政令(委任条例含む)の定めがなければ関与できない。

条例により、都道府県の事務の一部を、市町村に委託するには、あらかじめ、市町村と協議し、自治大臣に届出なければならない。

このように、地方分権推進計画は、市町村の役割が重要になっていることを定めている。

 

二〇 地方公共団体の行政体制の整備・確立

地方分権の推進により、地方公共団体の役割が重要性を増してきており、そのため、地方分権推進計画は地方公共団体に、次のような、行政体制の整備、確立を要求している。

(一) 行政改革等の推進

地方公共団体は、住民の理解と協力を得、スクラップ・アンド・ビルトの推進、外郭団体の見直し、行政手続の適正化、情報公開の推進、人事交流、人材育成といった行政改革等の推進が要請される。

地方公共団体の実力の向上が要求されているものである。

(二) 市町村合併推進

市町村の役割が増大することにかんがみ市町村合併の推進が要請される。

(三) 地方議会の活性化

地方分権の推進により、地方公共団体の役割が増大する。

そのため、地方議会の活性化が要求される。委員会審議の公開も要請している。

次に、地方分権を推進するために、地方分権推進計画は、住民参加の拡大、多様化が要請されるとしている。

これには、(一)住民意思の把握、反映、(二)民間活動等の連携、協力、(三)直接請求制度の見直し、(四)住民投票制度緩和の検討が要請されるとしている。

さらに、地方公共団体の公正の確保と透明性の向上が要請され、これには、(一)情報公開の推進、(例えば、予定価格の事後公表)、(二)行政手続の適正化、(三)監査機能の充実強化(例えば、外部監査制度)がある。

このように、地方分権推進計画は、地方公共団体に対して、大きな力を与えている。地方公共団体の地位、能力と責任は、益々強くなっている。

 

二一 地方自治法等の改正

平成一一年七月八日、地方分権一括法が成立し、地方分権推進計画をうけて、地方自治法等が改正された。

基本的には、二〇〇〇年(平成一二年)四月から施行される。

(地方分権推進計画の項、終了)

 

全国消防長会

顧問弁護士  木下健治

 

 

 

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