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一 一人暮らし老人宅の防火対策

災害弱者への早期災害対応の一環として社会福祉協議会とタイアップして六五歳以上で一人暮らしの老人宅(一、〇九三世帯)に緊急通報システムを設置して電話機本体及びペンダント式非常ボタンにより、消防本部に直接通報されるシステムと火災感知器を取り付けている。

また、秋・春の火災予防運動週間には民間企業と老人相談員の協力を得て、老人宅を訪問して各種電気器具の点検、ノーヒューズブレーカーの取り付け、ガス器具等の点検、ガスホースの交換等をして、防火懇談、健康相談を平行して行い、火災・救急時の対応について指導し親しまれる「消防」になれるよう努力している。

 

二 自主防災活動

管内には幼年消防クラブ三〇団体、少年消防クラブ二一団体、婦人防火クラブ一二団体が結成され、九、〇〇五名が所属し、多彩な行事に参加し活躍している。

(1) 幼年消防クラブ

幼年期から火に対する正しいしつけを身に付けさせ、火災予防思想の普及徹底を目的に育成指導し、茨城県防火大会と出初め式への参加、火災予防運動期間中の防火パレード、署内見学、防火映画の鑑賞、夏季には花火教室を実施し花火の正しい遊び方等を指導して防火の大切さを指導している。

(2) 少年消防クラブ

少年に対して明朗活発な気風を醸成し併せて火災予防の普及徹底と防火思想を育成するため、市内小学校二〇校が所属し、毎年小学五年生を対象として二〇〇名を募集し二日間に分けて「一日体験入署」を行っている。入署式で始まり、規律及び救助訓練・煙中避難訓練・梯子車体験搭乗・放水訓練・非常炊き出し訓練(昼食用)・応急処置訓練等の体験により参加者は各種の防火防災知識を学んでいる。また火災予防運動期間中には防火ポスター展・防火書道展を開催し、大型店舗に展示、地方新聞等に掲載することにより多くの市民に火災予防を訴え、入選作品は表彰式を行い記念品を授与している。

(3) 婦人防火クラブ

家庭における実質の火気取扱責任者である婦人が火災予防の知識を習得するため、市主催の総合防災訓練の非常炊き出し訓練に参加している。その他電気教室・電磁器具を使用しての料理教室、初期消火訓練、軽可搬消防ポンプによる消火訓練等を実施して万一の災害時には近隣の人と人とのつながりで助け合うことを認識していただくよう取り組んでいるところである。

 

おわりに

県内有数の工業都市、水産都市として発展を続けてきた当市は新たな飛躍のときを迎え、北関東のビッグプロジェクトが進行中であり、国際港湾である常陸那珂港や国営ひたち海浜公園を核として二一世紀を開く国際港湾公園都市の全容がみえはじめてきました。

このような社会情勢から当市では予防広報に重点をおき、各種災害を低減することを第一として、防火意識を一般に広く知らせている。

手段として市町村報・防災行政無線・地方新聞・ポスター・チラシ配布等を活用しているが、どれもが一方通行であるため防火講習会等を通じて市民に優しく、心のかよった福祉的概念のもとに行政に取り組み、施策を展開することが、消防の発想と理念である。

住民の防火意識を高めるため、職員が地域住民と接しながら、火災のない住みよい安らぎのある安全な都市づくりを目指して、これからも積極的に火災予防に取り組んでいきたい。

(安泰司)

 

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